ONE PIECE [LC] | ナノ




.........やっぱ医務室行きだな。
勝手に二人の父親になりゃいいし、それをわざわざ宣言する必要はないだろ。と、いうより...エースには荷が重すぎると思う。まずは与えられた仕事をまともにこなしてから言え、と。

「............言ってることが最終的に分かんねえんだけど」
「当初の通り、おれの嫁になれって話だ!」
「嫁!?ちょっ、そりゃいつからの予定だったんだい!?」
「.........マルコ邪魔!おれはセトと話してるんだ」

どっか行けと言われて少しだけマルコが引き下がった...がその辺に居るのが見えてる。
ついでによく見たらマルコの後ろに残りの隊長たち、野次馬みたいなクルーが並んでてナースも居る。何かのイベントかコレ。

「言ったよな、おれの嫁にしてやるって」
「......随分前に聞いた気がする。けど俺が男名乗ってた時じゃなかったか?」
「そこはどうでもいい!」
「重要だろ。男を嫁にするつもりだったのか?」
「セトを嫁にするつもりだった!」
「カミングアウト前からか!それはそれで病気だ!!」

万が一、俺が本当に男だったら...大変なことになってたじゃねえか!まさか...掘っ、いや、止めよう。

「心配すんな!男は包容力!年上のおれに全て任せればいい!!」
「阿呆。お前まだ俺を年下だと思ってやがんのか。それにお前に包容力があるようには見えないぞ」
「年下だろうが!お前、おれぐらいだって言った!サッチもビスタも"ありゃ生意気なガキだ"って言った!」

.........把握した。彼らとは後で話し合いをしよう。というより、包容力に関してはスルーか。

「心配すんな!おれはいくつ下でも許容範囲内だ!」
「お前なあ、計算くらいしろ。俺は今年で22で断然お前より年上だ、バーカ!」

叫んだ後に後方から「あ..」と聞こえたのは気の所為にしたい...
例え、マルコを始めとしたクルーたちが指折り何かを数えてたとしても...計算出来てたと信じたい。

「襲撃事件は10年前!その頃俺は12歳だった!」
「足したら22歳!確かにおれより年上だな!が、問題無い!!」
「矛盾したぞ!?完全に矛盾した!!」

俺もエースの両肩を掴んで半ば取っ組み合いになって来たがギャラリーは特に止める様子は無い。
矛盾を認めずただひたすら「大丈夫」と「嫁になれ」を口走るエースに今は大人しく医務室へ行くことを促すが全く聞く耳を持たない。

「話を聞けエース、嫁嫁うるせー」
「おれ、お前、嫁にする、絶対!」
「意味分かんねえ区切りつけながら言うな。それに勝手に嫁にすんな」
「オヤジに一言言えば全てが成立する!」
「するかよ!!」

どんなルールだよ。成立とか有り得ねえよ。

「とにかく落ち着け。俺はたちまちお前の嫁になる気はない」
「これは運命だぞ!?」
「だから話を聞けよ」
「ジジイもこれが目的だったんだなァ。お前が嫁ならヤツも納得だ!」
「阿呆か!!」

聞く耳持たずのエースがとんでもねえ力で引き寄せて来るから同じくらいの馬力で引き離そうと努力する。
互いの形相はもはや喧嘩してると思われても仕方ないくらいのもんなのに...マジで誰も止めに入らない。その間にもエースは嫁だ運命だを連呼して話にならねえ。落ち着けと言っても落ち着く様子はない。

「手を離せエース」
「断る!おれはお前を抱き締めるぞ!」
「無意味なセクハラは止めろ。ブッ飛ばすぞ」
「これはセクハラじゃねェ。愛、故にだ。大人しく抱き締められろ」
「俺が折れなきゃいけねえとこなのか!?」

ギャンギャン喚く、その声が響いてく。遠くでギャラリーが笑う。腕が、痺れる。
限界まで踏ん張ったが俺とエースとじゃ体力差がありすぎて...力尽きたと同時に折れんばかりに抱き締められた。
目に映るのは逆さまのタトゥー、紅色の首飾りが俺の首筋に触れて冷たくて痛い。ついでに頑張った腕も腕を回された背骨も痛い。

「お、いエース!」
「もう無理しなくていい」


落差あるとても小さな声。それは俺だけに響いた。


「おれがお前の大事なもんも含めて守るから」











LONELY CHILDREN


もう、一人じゃない。











「なァ、そろそろ助けてやらねェと死ぬんじゃね?」
「顔色が赤から青に変わってるから酸欠に近付いてると思うわ。そうね、あと5分が限界ね」
「なっ、早く助けてやれよい!」
「じゃあユノちゃん特製痺れ薬を投与してこようかな。隊長に抗体出来てないといいんだけど」
「何でもいいから早くしろよい!おれらがオヤジに殺されるぞ!!」
「.........守る側が殺しちゃダメだよなァ」


20.5. 俺とキミたちとお前で

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