ONE PIECE [LC] | ナノ



「よーしマルコ。おれに謝れ」
「断る。てめェがちゃんと説明しとけば良かっただけの話だ」

連れて来たヤツ全員が悪魔の実の能力者なら子供でも話は別だろい。危うく船沈むとこだったぞ。
にしても...こんな子供が賞金稼ぎやってるなんて誰が思うか。今までやられた連中も油断しまくってたに違いない。そりゃ...実態が何であるかなんか分かるはずもない。言ったとしても誰が信じるかって話だ。

「さて...どうしたもんだろう」
「は?普通に勧誘したから船乗せる」
「了承されてなかったぞ!親元から勝手に連れ出したらそれこそ誘拐だろい!」
「あーこいつら孤児。セトが二人を育ててるってさ。問題ないだろ」

なァ、とエースが声掛ければ元気良く返事をする子供が二人。随分懐いてる。で、肝心の親であるセトは力使い過ぎで寝ちまってる。とりあえずは...保留だな。話そうにもまともに話が出来るヤツが居ない。

「......ソレ、寝かせといてやれ」
「おう。じゃ、マルコは二人に案内されて荷物取って来てくれ」
「おれかい!」
「飛べるのはマルコだけだろ?シン、エア行って来い」

「はーい」と同時に返事をしたと思えば凄まじい勢いでおれの方へとやって来て足に纏わりつく。子供に懐かれた経験がほぼ無いおれとしてはこの状況をどうしていいものか分からない。ましてや呼び方が「おじちゃん」と来た。確かに否定は出来ない、否定は出来ないが...納得出来ねェよい。せめて「おにーちゃん」くらいになりはしないだろうか。

「......道は分かるのかい?」
「「うん!」」
「......飛ぶからちゃんと掴まってろよい?」
「「はーい」」

チッ、素直に言うこと聞くガキじゃねェか。とりあえず頭を撫でておこう。
で、遠くでププッと笑った連中は帰還次第ブン殴っておこう。顔は確認したよい。

「気を付けて行って来いよー」
「「はーい」」

はしゃぐ子供を背に飛ぶなんざ...格好悪いが今はいい。

「お、おい!髪は掴むな!」

......早く目的地に着く必要がありそうだ。



方向指示はこの双子。あっち、こっち、そっち、の三つしかねえくらいのガキだということを忘れてた。
お陰で相当色んなところを回らされたが、ある程度近場に来るとすぐに拠点は分かった。山奥、森と化した木の一角。地上からはおそらく確認出来ないであろう場所に小屋を見つけた。ガキが秘密基地を作るには高すぎる位置だがあの三人なら可能だろうよい。

「あれが家かい?」
「「うん!」」
「降りるよい」

子供が作ったにしては上出来すぎるが不格好な家へと舞い降りれば、はしゃぎながら二人が家の中へと案内してくれた。が、

「......殺風景にも程があるだろい」

物は何もないと言っても可笑しくない。ただ、寝るための毛布があるくらいで他には特に目立った荷物は無かった。食事はどうしてたのか、風呂は、便所は、と色々聞きたい事はあるが...考えるのは止めた。そして聞かないでおくとして。

「おーい、持ってくものはあるかい?」
「ある!じゅんびしてた!」
「してた、って何処かに行く予定だったのかい?」
「うん。つぎのおふねにのるの」
「こんどはべつのとこにいくの」

なるほど...長期間同じところには住まないようにしていたのか。流石賞金稼ぎ。
同じ場所に居れば居るほど情報は偏る、自分の身元も割れやすくなる、顔も...把握されるからな。特に子供、しかもこんな小さいのを連れてりゃ嫌でも目立って来る。なかなか賢いやり方してるじゃねェかい。エースも見習えばいいんだが。

「なら荷物は...これだけ、かい?」
「「うん」」
「......二つ、か。一つは稼ぎみたいだな」
「こっちのにはエアのたからものあるの」
「シンのも」

そーかいそーかい。でも今出すな!

「セトちゃんがつくってくれたぬいぐるみ」
「......ほォ (わざわざ作ったんかい)」
「ぼくのもセトちゃんがつくってくれた」
「......(こっちもかい) 優しいんだなセトちゃんは」
「「うん!」」

......思った以上に愛情は注いでるんだなアイツ。
捨てられたのを拾って育ててたんだよな。まるでオヤジみてェなヤツじゃねェか。そうか...なら悪かない。

「よし、戻るぞチビ共」
「「はーい」」
「荷物をしっかり持てよ。ついでにしっかりおれにも掴まれ」
「「はーい」」

子供子供と連呼して悪かったよい。体こそ小さいが心は子供じゃなかったらしい。
まだ色々と謎はあるけどエースとも相性は悪くなさそうだから"息子"になる時は二番隊に入れるよう打診しとこうかい。

03. おじーちゃんと呼んじゃいました

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