そのままの君
ああ、やっぱりなーって思った。
ギスギスしたものよりふんわりしたもの。苦いものより甘いもの。可愛くないものより可愛いもの。そういうのを選んで当然だ。私だってそうすると思う。
「というわけでフラれた」
「俺に言うな」
「何なんだろうね」
「知らねえよ」
と、幼馴染みに愚痴れば思いっきり溜め息を吐かれる始末。少しぐらい同調してくれて良さそうなものだけどしない辺り「またかよ」って思ってるに違いない。これがまたよくあることだから。
「悪趣味なんじゃねえの?」
「そうかあ?素敵だったよ先輩」
「……もう過去形かよ」
「過去形だよ」
フラれたんだもん、過去形で十分。現在進行形にしたところで辛いだけじゃない。それよりも先を見ていた方がずーっといい。
「あー何なんだろう」
「だから知らねえし」
「コレは…言いたかないが」
「言いたかないなら言うなよ」
「可愛い子に生まれたかった」
ギスギストゲトゲよりはふんわりとしてて苦いよりは甘い系。砂糖菓子みたいな子に生まれてたならまた少し違った人生だったかもしれない。
「性格に問題あるんじゃね?」
「……ないとは言えないね」
じゃあ、そこを含めて改善を…と言ってももう結構生きてるからどうしようもない。
「まあ…アレだ」
「何だよ」
「私のままでもいいって人を捜そ」
「……そーかよ」
20100730
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