#06
ボディーガードに文字通りガードされながらご飯を食べるってシュール。
今まで宍戸をボディーガード程度に考えていたけど...彼らを見ちゃうと宍戸じゃボディーをガード出来ないことがよく分かる。めちゃくちゃ怖い。
「.........ほんとに超お嬢様なんだね」
チラッと話には聞いたけど俄かに信じられなかった。
だってボディーガードだよ?何処のお姫様だって話。少なくとも私の周りにお嬢様もどきは存在してなくもないけど、こんな護衛付きのお嬢様は存在してない。
「え?誰がそんなこと...」
と、ビビちゃんが私と宍戸を交互に見る。
これはビビちゃんがお送りする宍戸チャーンス!(会話が出来る権利)なのに宍戸ったら何か動揺してるのかモゴモゴしたまま。
「.........えっと、」
再度宍戸をチラリと見たけど返事出来る様子ではない。だったら私が返事を...と思ったけど、私も気付いた。
この話を教えてくれたのは、彼だった。つまり答えは彼。名前を口にすればそれが答えだけど...私は一度も彼の前で彼の名を呼んだことがない。呼んだこと、ないんだ。
「え、エース、さん、です」
ポーッと頭から湯気が出そうになった。熱い、熱いよ此処。
てか、名前...知ってたら変かな?特に自己紹介とかしたわけじゃないけど自然に耳に入る名前だし、その、ね。
「あァ、おれが話した。事実だろ?」
「でも...」
「大丈夫。そんなことくらいじゃこの子らは避けたりしねェよ。なァ?」
ニカッと爽やかな笑顔に思わずブンブン頷く私。
何だ何だ。今までの雰囲気は何処へ行った?いや、前のスタンスに戻って欲しいとかそういう話ではないけど、このままでいいんだけど、こう、心臓が、痛い。ダスダス地団駄踏むように痛いよ。
「は、はい。ええそりゃあもう。ただ驚いたけど、でも友達は友達です!」
「だってさ。良かったじゃん」
「.........ええ。とっても嬉しい」
「と、いうことで仲良くしてやってくれよ」
ぽんぽん、て。
頭、撫でられてしまった。彼に。
「は、はい!仲良くします!させて頂きます!」
鳥肌が立つほどにゾクッとした。
この感覚は、一生忘れない。
2015/07/13 11:47
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