#02
その人は大学生くらいだろうか。
塾の傍にある飲食店で店員をしている人で笑顔の可愛い人だった。
でも、眼中にあるのは綺麗なお姉さんだけで塾通いのガキに興味はないらしい。
「ねえ!今日も付き合ってよ宍戸!」
「.........まあ、いいけどよ」
それでも根気良く通ってるのは...料理が美味しいからだと思うようにした。
「どーせアイツ目当てで行くんだろ?」
「.........」
「何なら俺が声くらい掛けてやろーか?」
「いらん!!見てるだけで、いいし」
で、いつも引っ張ってくのは幼馴染みの宍戸で人情に厚いのか何なのか付き合ってくれた。
勿論、お返ししようと思って宍戸が気になってるらしい某ドーナッツ店の女の子に声を掛けてやるって言ったんだけど...キレられた。
なので物凄く一方的だけど付き合ってもらって...そろそろ半年は経つ。でも、彼は笑ってはくれない。
「いらっしゃいませー...」
そう、この顔だ。
最初こそは笑顔なのに私たちを見ると少し作り笑顔になる。
宍戸は気の所為じゃね?とか言ったけど...私には分かる。あんまりよく思われてないらしい。
「こんばんは」
「奥にどうぞ」
うん、結構目も合わなくて何とも言えないけど...それでも私は此処に通う。
正直ズキッとするけどそれでも私は此処に通う。
最後の最後でようやく、笑って「御馳走さまでした」って言えるから。
2013/03/22 17:09
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