エイプリルフールなので1日限定彼女になってみる大作戦



▽もしもの話 全員と同じ高校だったら...の番外編。4月1日に学校があることとか一体この4月から何年生なんだとか細かいことは気にしないでくださいねフフフ






『てなわけで勝手にくじ引きしーようっと』
「これ当たったヤツ今日1日ヤバイだろうな」
「いくら彼氏欲しいからってそんなことしたら相手がかわいそうじゃないの?」
『いいじゃん1日くらい大丈夫だよ!』


可哀想の意味がわかってないわねこの子は...って彩子と宮城がぶつぶつ呟く中、私は部員全員の名前をいれた袋から紙を1枚取り出した。そっと開けば...おぉっ?!


『大当たりー!...大丈夫かな、なんか不安だけど』
「よりによって...まぁ、面白くなるかもな」


早速教室へ向かうと案の定机に伏せた大きな体。ツンツン起こしても起きる気配がないので思いっきり首にチョップを決めるとガタンと椅子を鳴らして大きな体が立ち上がった。おはよう、寝過ぎよ。


「何人たりとも...」
『流川!おはよう、お願いがあるの』
「...なまえセンパイ?」


目をパチクリさせて私を見る流川に今日はエイプリルフールなのに学校があってだるいから1日私の嘘に付き合って欲しいと伝えるとボーッとしながらも何に付き合えばいいのか聞いてきた。ナイス質問。


『付き合い始めたってことにして』
「...センパイと俺が?」
『そう。1日限定モテモテ流川くんの彼女。親衛隊にはバレない程度で部員の皆を騙そう』
「...わかった」


嫌がられるかなとも思ったしだるいから他当たってくれとかハァってため息つかれるとか色々な反応を予想していたけれどどれも違った。意外にもやる気な流川に言い出したこちらが驚いたけれどまぁいい。面白そうだと思ってくれたのかな。ありがたい。私の娯楽に付き合ってくれるなんて...


「でも何すりゃいいんだ?」
『休み時間必ず毎回私の教室に来て』
「...それだけ?」
『ご飯も一緒に食べよ。部活行く時も一緒、今日はなまえって呼んで!楓!』
「...なまえ」


図々しく下の名前で呼んでみたら嫌な顔せず付き合ってくれる流川。ありがたき...なんて優しい後輩でしょう。早速私たちの共同作業によるエイプリルフール彼氏できました大作戦が始まったのです!




「...なまえ」
『楓〜どうしたの〜』


休み時間約束通り教室まで来てくれる流川。宮城と彩子が2人してニヤニヤしている中、事情を知らない沢北がその場にガタンと立ち上がった。


「...な、何今の、それ...か、カエデ?」
『何沢北どうしたの』
「る、流川、お前何しに来たんだよ...?」
「決まってんだろなまえに会いに来た」


いやいやいやちょっと待ってよ、流川楓さん...

そんなことサラッと...かっこよすぎませんか?!演技うますぎません?普通に照れたんだけど私!嬉しいとか思ったんだけど!恋かな?エイプリルフールに紛れて恋始まっちゃうよバカ!


「ハァ?!いや待てよ何それ」
「...付き合ってる」
「...つ、つきあ...って...?!?!?!」


信じられない...と言った顔で私と流川を交互に見る沢北。一目散に教室を出て行った後しばらくして真っ青な顔した大ちゃんを連れて戻った来た。ハァ?!なんで大ちゃん連れてくんの意味わかんない...


「なまえ、嘘だよな?嘘って言ってくれよ...」
『大ちゃん私ね、彼氏が出来たの』
「嘘だ...それ俺じゃね?俺と付き合うことに...」
『流川くんのことが好きなの、ごめんね』


なんとかしようと慌てる大ちゃんにそう告げるとガックリと肩を落とした。そのうち流川に視線を向けると徐に近寄って流川の肩をガッと掴んだ。


「本気なのか?本気で付き合ってんのか?」
「あぁ」
「...よりによってお前かよ...流川...」


大ちゃんの問いかけにも自信満々で答える流川。なんだか本当に付き合い出した気分だ。


「なんや?!お前本気なんか?!」
「あぁ、なまえのことが好きだ」
「嘘やろ...俺のなまえ...」


その後噂をどこからか聞きつけた南さんがやってきて流川に黙らされていた。あぁ可哀想に。無駄にショック受けちゃってるし...そんなに私と流川くんは似合わないのかな?


休み時間になるたびにバスケ部の誰かが尋問に来る。本当に?って聞いては流川くんにそうだと言われて黙らされる始末。


そして放課後、部活の時間。ついにこの時がやってきた。


「...なまえ」
『何宗ちゃん』
「いや別に、変な顔してるなと思っただけ」


さっきから用もないのに悪態ついてくる宗ちゃんだ。私に話しかけては何もないと言ってオマケについてくる意地悪な言葉たち。見兼ねた流川がそばにやってくると宗ちゃんは突然真顔になった。


「俺のなまえに話しかけんな」
「俺のなまえか...ふーん」
「なまえこっち来い」


近くにいるのにちょいちょいと呼ばれて近寄れば流川の腕が回ってきてスッポリとおさまった。うおぉ?!もしかして...抱きしめられてる?


『ど、どうしたのッ...楓』
「充電、やる気出るから」
『そ、そう?』


されるがままにおさまっていたら隣からバチバチと音がするくらい燃えているオーラが見える。物凄い怖い顔した宗ちゃんだ。部員のみんなからは悲鳴ような叫びが聞こえてくる。うるさい、特に諸星。あえて名字で呼ばせてもらうよ、諸星黙りなさい。



「頑張ってくる」
『うん!』
「...チューは?」


へ...?流川からとんがった唇をん、と差し出された。うえぇっ??嘘でしょ、なんでそんなことしなきゃいけないのよ...あの、待って...


『こ、こんなとこじゃ、嫌だよッ!』
「なんだよ」


いつまで経ってもしないから痺れを切らしたらしい流川が文句を言いながらスッと近づいてきた。その瞬間私の頬にはフニャッと柔らかい感覚。え...嘘?!そんなことまでするの?!本当にキスしてきたんだけど...?!


「...俺だけ見てろ、なまえ」
『わ、わかったから...!』
「それと、ソウチャンってのやめろ」
『...へ?』


俺の彼女だろって念を押される形で言われてとりあえずコクンと頷けば奥で燃え続けてこちらを焦がす勢いすらある目で人を潰せそうな宗ちゃんと目が合った。ヒィィィ!何その顔怖すぎる...!


「なまえ、じゃあ俺のことなんて呼んでくれる?」
『えっ...と...』


口角だけ上がって一見笑ったように見える宗ちゃんにそう問いかけられた。ヤバイよこれは...!もうなんて返したらいいかわからずにギュッと目をつぶって現実逃避に走る私。これは夢だ!悪夢だぁあ!これ自体がきっとエイプリルフールの嘘なんだ!そうだぁあ!


「宗ちゃんがダメなら...なんだろうね?」
『...わ、わかりません...』
「それと、今日エイプリルフールだからって流川と付き合ってるなんて嘘ついてるんだとしたら...」
『えっ?!』
「俺がなまえのことどう処分するかは...考えなくてもわかるよな?」


しょ、処分...!その時の私の顔とハァとため息をついた流川の様子から宗ちゃんの言ったことが図星だとわかったらしく周りの部員たちがなんだよ嘘かよ...と次々に口にし始めた。よかった、とか安心した、とか呟きが聞こえる中多分仙道くんであろう”それにしてもキスなんてやりすぎじゃないのか”との一言でみんなが再びワーワー騒ぎ始めた。よ、余計な一言を...!


『ごめんみんな...くじ引いたら流川の名前が出たから協力してもらっただけなの...』
「にしたってキスしたよなお前!ふざけんなよ!」
『大ちゃん落ち着いて...』
「...選ばれなかったからってひがむな」
「んだと流川ぁぁあ!表出ろよ!」


殴りかかりそうな勢いの大ちゃんを牧さんと藤真さんが慌ててまぁまぁ!と止めている。私はバレてホッとしたのが正直なところ。...しかし、隣から感じる殺気にガタガタと震えだす体。うわぁああ!この殺気...知ってる...無条件に冷や汗が出てくる。


「...さぁて、どうしようかなぁ?流川の彼女のなまえちゃん」
『ヒィィィ!す、すみませんでした!騙すつもりは...!』
「騙すつもりでやってたんでしょ。これ以上嘘ついたらどうなるか...」


膝を曲げて私と同じ目線に合わせてニコッと微笑んだ宗ちゃん。こ、こわい...恐ろしすぎる...!その瞬間ゆっくり宗ちゃんの顔が近づいてきて固まっていたら流川が触れた反対側の頬に再び柔らかい感覚が...


『〜〜ッ?!?!』
「俺、なまえのこと好きなんだ」
『...えっ?!』
「流川じゃなくて、俺の彼女になって」


ね?と微笑む宗ちゃん。さっきまでの殺気はどこへやら。綺麗に優しく笑うから信じられないほどに顔が赤くなるのがわかった。な、何言ってるんだ...本当に...!!


『そ、宗ちゃん、あの...』
「...本当にバカだね、だから今日はエイプリルフールでしょ」
『...い、いまの嘘ってこと?!』
「さぁどうだろう?好きなようにとらえていいよ」


ニッといたずらっ子みたいに笑う宗ちゃんにえぇ〜ドキドキして損したぁ...と私はガックリした。あぁ人を騙すってこういうことか。しっかりと反省せねば...にしても流川と同様、キ、キスしてくるなんて...!!冗談にこんなにドキドキさせられちゃって私ったらどうしたんだぁぁあ!!!








俺を見ながら顔を赤く染める彼女を見てエイプリルフールも悪くないなと思ったりもした

(宮城が全部嘘だって教えてくれてよかったなぁ)
(そうと知らずに流川のことシめるつもりだったわ...)
(...いや、どっちにしろ流川はシめるけど)


大変なことになる前に神くんにはコソッと事の次第を教えていた気の利く宮城リョータ。





Modoru Main Susumu
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