国体編





「よう、清田。この間ぶりだな。」

「..........ち、ちわっす...........」


国体合宿の初日にふさわしいなんとも快晴、いい天気。俺の挨拶に青ざめた顔をした清田は体調でも悪いのだろうか。なんだ?小刻みに震えてやがる。あぁ、そうか。緊張してるんだな。国体だなんて初めてだもんな、この1年坊主。いい加減そのうざったい髪の毛切れってんだ長髪猿め。


「よう牧。お前んとこのスーパールーキーさんがよ、元気が有り余ってるようでバスケ以外にも夢中になってるものがあるみてーなんだが、練習足りてねーんじゃねーの?」

「.....藤真、いきなり何の話だ.....」

「スーパールーキーさん、どうやら付き合ってる女の子がいるみてーなんだよ。」

「......ほう、清田に彼女が......?」


はぁ?牧知らねーの?コソコソコソコソしやがって...なんか余計腹立ってきた。つくづくムカツク野郎だ...


「...で?清田の彼女と藤真が怒るのとどう関係しているんだ?」

「...よくぞ聞いてくれたな、牧。その彼女ってのがよ..........」


チラッと猿に視線を向ければ俺と目が合うと「ヒィィ」なんて声を出して神の後ろに隠れやがった。何がヒィィだ馬鹿野郎!!


「俺の “世界一大切 “な妹なんだよ。」

「.......き、清田....そ、そうなのか.......!」


このバスケ以外鈍感で私生活は帝王とは程遠い牧ですら俺の妹に手を出すことがどれほどのことか察したらしく青ざめて「なんと....」なんて呟いている。


「ま、牧さん、黙っててすみません......。」

「いや、なんていうかだな...お前の怖いもの知らずも本当にすごいなと思っただけだ.......。」

「なんもすごかねーわ。頼むからなまえに近付かないでくれ。」


.....あぁー!本当にムカツクー!!あんなにガード固くして話しかける男はしばいたし完全に守り抜いてきたってのに!こんな身近なしかも海南なんぞでバスケやってる奴にサラッと持っていかれるなんて信じらんねーアホかよ!!!!


それに聞いてみりゃどうやらなまえの方からアプローチかけたらしくてコイツがまんまと落ちたらしいじゃねーか。そりゃな?俺の妹可愛いし?アピールなんかされたらイチコロだろうよ。いや、そうじゃねーんだわ。


とにかくどうにもこうにもムカつくんだよ、なんでよりによってお前なんだよ!!俺はな、アイツがこんっなにちっせー頃から見守ってきたんだよ、わかるか?お前みたいな野暮ったい勘違い野郎に.......


「.....なまえのこと、み、認めてもらえるように、頑張ります。」

「.........頼む、黙れ。」


突然スッと前に出てきて拳握り締めてそんなこと言うもんだからなんだか腹立つ以上の感情になった俺はもうどう返事をしたら正解なのかわからなくなった。頼む、一回黙ろう。そして呼び捨てにしないでくれないかな。うん、俺のなまえなんだよ。


「そんな、大人気ないですよ藤真さん。」

「.......神、別に俺はガキでも構わねーんだよ。なまえが守られるんならなんだって。」

「なまえちゃんのことはよく知りませんけど大人っぽいお兄さんの方が喜んでくれるんじゃないですか?」

「.......何?そこの猿と一緒に黙らせようか?」


俺の言葉に隣にいた清田がヒィィィと悲鳴を上げて牧の背中へと隠れ、神は余裕たっぷりににっこり笑って「案外頭カタいんですね」なんて言ってくるじゃねーか。


「そうだぞ藤真。なまえちゃんが好きになった相手なら例え気に入らない奴でも応援してやるのが筋ってもんだ。」

「ほら、花形さんにも言われてますよ。」


どこからか出てきたなまえの恋応援派の花形に言われ神はやっぱり楽しそうに笑いながら俺に向かって嫌味ったらしく言ってくる。花形はさておき、なんだよ、神。お前は清田の味方か。あぁそうかよ!別に構わねーよ!


「こん中なら流川くらいのビジュアルじゃねーと譲れねーわ。せめて俺よりもかっこいい奴にしてもらわねーとさ。」

「.........っ、」

「藤真、お前は諦めの悪い元カレか。」


よしよし、ダメージを喰らった顔した清田。くっくっく、いいぞいいぞ!.....って、花形はいっつも余計なことばっか口挟んできやがって.....。コイツもいっぺん黙らせておこうか。あぁ?!


「お、俺!努力します!それでなまえとの交際認めてもらうように...いや、この清田信長以外はダメだと言われるくらいに!!やってみせますとも!!」


......は?何コイツ突然気合い入って高々と宣言してんだ?!意味わかんねーんだけど.......。


「そして!!なまえと結婚します!!俺がもらいます!!!」

「....信長、それはさすがに気が早いんじゃない?」

「いやいや神さん。あと二年もすれば結婚できる年齢ですよ!」









「.......上等じゃねーか、この猿野郎!!!」




















『信長くーん!頑張ってー!!』

「......なまえの声?」


俺の耳がピクッと反応する。誰よりも早くその声の主を探せば俺なんて眼中になくフロアにいる清田に視線を送るなまえがいた。


なんだよ、俺に黙って来るんじゃねーよ......。


国体の合宿は基本的には非公開練習となっていて俺みたいな人気者のファンが集まると困るからって場所や日時は絶対的に口外禁止。それぞれの選手の家族だけが決められた時間のみ観覧可能となっていたのだ。


だからまぁ、俺の妹だしなまえがここにいるのは間違ってはねーけどさ。むしろ来てくれて嬉しいけどさ。でもその目的は間違ってる気がしてならねーんだよな。お前の視線の先、マジでムカつくわ。


「なまえちゃん、来てくれてサンキュー...!」

『信長くーん!』


声をかけてもらえたことが嬉しかったのかなまえはニコニコ笑って清田の名前を呼びまくって手を振りまくっていた。あー本当に俺の妹は頭がおかしくなっちまったんだな....






ほどなくして休憩となりなまえは一階のフロアまで降りて来ると差し入れだと牧に手土産を手渡していた。お、気が効くじゃん、なんて思いきや「信長くんの彼女です」なんて挨拶してやがる。


「ちげーだろ、その挨拶!藤真の妹ですってそれが正しいだろお前は!」

『.......なんか言った?』

「....なまえ....、お前本当に.....!」


前よりも明らか態度悪くなったよな、なまえ。清田と付き合い始めてからだよ。俺に対する当たり強くなったし言うことなんてまるで聞かねーしこの俺を邪険に扱いやがって!!


『お兄ちゃん、言っておくけど信長くんに手出したら許さないから。』

「は?お前何言ってんの?」

『何言ってるかわかっててそんなこと聞かないで?二度手間なのだるいから。お兄ちゃん、私は信長くんが好きだから別に認めてもらおうなんて思わないし好きにする。でも出来ることならいい兄妹でいたいと思ってる。』

「.....なまえ.......」

『だから二人とも応援するし二人とも大切なの。お兄ちゃんと信長くんがいい関係でいてくれたらそれ以上のことはないよ。』

「.....わかったよ、俺......」

















「この猿のことやっぱりシメてやるよ。」

『........お兄ちゃん私の話聞いてた?』

「あぁ。なまえが清田を好きだって言ってた。だから俺はやっぱりコイツを許せない。」

『だったらもうあなたのことは「お兄ちゃん」だなんて呼ばないから。』

「............じょ、上等.......じゃねぇよ..........」














それは俺にとって何よりも避けたい出来事であった


(今度から「おいそこの女顔」って呼ぶね。)
(...............す、すいませんでした........)
(わかればよろしい。見えないと思って手出しても私は全て見てるからね!!)
(.......末恐ろしい女だ...........)






ゆい様 (*^ω^*)

この度はリクエストありがとうございました!いつもいつも嬉しいコメントありがとうございます。特に藤真くんを愛す者同士、本当に分かり合えることが多くて嬉しいです(^^)姉妹シリーズを推してくださってありがとうございます!妹の彼氏が信長くんってなんか本当に最高の組み合わせです)^o^(藤真くんは怒ってばっかりでした......やっぱりこうなってしまった.......美人マネシリーズは今後普段のところに話を増やしていこうと思ったのでここでは藤真くんの妹ちゃんの話を描かせてもらいました!!少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです( ;_; )いつも本当にありがとうございます☆今後共よろしくお願いします!!



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