後編







次の日もその次の日も私は学校を休んだ。

さすがにその次は行ったけれど部活は見に行かないし休み時間はほとんどをトイレの中で過ごして完全に宗一郎やバスケ部との接触を絶った。



もう何もかも終わればいいよ。彼女なんて向いてなかったんだよ。手に入れたっていつまで経っても私のものじゃない気がして、不安と嫉妬に駆られて自分が壊れそうで本当に嫌だ。








だからもう、よかったのに。


『.......?!』


放課後さっさと帰ろうと門を出る直前私は誰かに腕を引っ張られた。


振り向けばそこには息を切らして私の腕を掴む宗一郎がいたわけだ。


『......な、なに......』


無表情で肩で息してジッと見つめて何も言わない。少し動かしてみてもその手を離すつもりはないらしく腕は未だ掴まれたまま。


『...もう、いいから...』


何も言わない宗一郎に私がそう言えばしばらく時間が経ってから「なんで」と声がした。


『だって...面倒でしょ、私本当に余裕なくて宗一郎が他の子に笑ったりするのすごく嫌で...、部活も本当は見てていい気がしないし...』


だからもう、やめさせてほしいんだよ。


お願いするようにそう言っても宗一郎は私の手を掴んだまま動かず一言だけ言葉を発した。








「...絶対にダメだよ」









『なんで....だって嫌なんだもん。宗一郎の彼女全然楽しくない。嫉妬で狂いそう。ムカツクもん。全部が腹立つの。宗一郎は私だけ見てればいいんだよ!』


早口で捲し立てる私に宗一郎はジッと見つめたまま「どうしてそう思うの?」と聞いてくる。


『どうしてって...だってやっと付き合えたから...中学の時からずっと好きで...宗一郎と離れたくなくて海南受験したし、それでやっと付き合えて...だからもう大好きすぎて...それで........っ!!』


私の言葉に宗一郎は突然腕を離し今度はギュッと抱きしめてきた。


『そ、宗一郎....』

「だったら最初からそう言えばよかったんだよ」

『.....でも、』

「なまえもし俺から大嫌いなんて言われたらどう?」

『.....っ、それは.........』


本当に生きてる心地がしなかった...

宗一郎はそう呟いて私のおでこに口付けた。ジワジワと目尻が熱くなり次第に涙が溜まっていく。なんでこんなにも優しいんだろう...。勝手に嫉妬して勝手に何もかも終わらせようとした自分勝手な奴に宗一郎はどうしてこんなにも大きな愛をくれて、包み込んでくれるんだろう.....


「ありがとう。そんな昔から思ってくれてたのわからなくて...傷付けてごめんね。」


にっこり笑って優しいいつもの宗一郎が私の頭をふわふわ撫でてくれる。


あぁ...もう...本当に大好きすぎてどうしよう...


「これからは気をつけるね。俺の大切な彼女が毎日笑って過ごせるように、ね。」


宗一郎はそう言いながら私の頬っぺたを両手で包む。しばらくして綺麗な顔が近づいてきてそっと優しく...そしてなにより甘く唇を奪われた。


「よし、部活行かないと。.....観て行くよね?」

『.....うん。』



私の手を取り「遅刻するかもしれない...」と呟きながら宗一郎は体育館まで駆け抜けた。急いでそこらへんに放り投げてあった荷物を持って部室へと走る姿を見て相当焦っていることがわかる。時間気にせず私のこと追いかけてくれたんだと思うと嬉しくて...でもなんか申し訳なくて...。


「....っし、行ってくるよ!観ててね!」


1分も経たないうちに練習着に着替えた宗一郎が出てきて私の頭を一回撫でると慌ててバッシュ片手に体育館へと走って行く。その後ろ姿がなんとも愛おしくて可愛くて...「大嫌い」なんて言葉でどれくらい傷付けてしまったのかと情けなくなった。








それ以来マネージャーが必要以上に宗一郎に話しかけることも隣にいることもなくなった。けれども険悪な雰囲気はないらしく宗一郎がうまく距離を保っていることがわかってすごく嬉しかった。


三年生になり宗一郎はキャプテンとなった。相変わらずの好青年ぶりに加えて海南バスケ部のキャプテン。それはもうモテる以外の何ものでもなくて。入ってきた新入生から告白されている姿を何度か目撃してしまった。今すぐその場から退け!と前の私なら叫び倒すだろう。けれどももうその必要はないんだ。


「ごめんね、俺彼女いるんだ。」
「....じゃあ練習だけでも観に....!」

「ううん、申し訳ないんだけど...俺彼女に誤解して欲しくないしすごい大切にしてるからさ。他の女の子と関わり持ちたくないんだよね。」


宗一郎はそう言うと女の子を置いてどこかへ行ってしまった。しばらくして見て見ぬ振りをした私の元へやって来て「なまえ」と声をかけてくる。


「後から知ったら嫌だと思うから言うけど今告白された。でも断ったし関わりを持つつもりもないって言った。俺にはなまえだけだから、ね。」


『....ありがとう、宗一郎....!』













愛の裏側にあるジェラシー


(宗一郎もし私が他の男に告白されたらどう?)
(...そんなの決まってるよ)
(二度となまえに近寄れないようにするさ)

(.....何する気なの.....)







橘桜様 (*^o^*)

この度はリクエストありがとうございました!ヒロイン側の嫉妬はすごく難しくてなんだか本当に自信がないのです...申し訳ないです...( ;_; )( ;_; )せっかくリクエストしていただいたのにこの程度が限界でした...( ;_; )ううう( ;_; )また企画行いますのでその時にリベンジさせてもらえたらと思います...本当に申し訳ありません( ;_; )!
神くんは優しくて心の広い子にしようと思って描きました!気の強い彼女を持つにはバランスが取れてないとなぁ...と思ったのです(^^)この度は本当にありがとうございました!そして今後共よろしくお願いします( ;_; )!





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