B







『それでね、私はー…』


みょうじさんが以前よりも頻繁に俺に話しかけてくれるようになった。


「おぉ、なるほど…」


なのに俺ときたら緊張からまともな返事が返せなくて。なんて使えないんだ、このアホ…と自分を責めて自己嫌悪に陥る日々だ。こんなにたくさん話しかけてもらえてるのに、俺はみょうじさんの前じゃうまく笑顔も作れないことに気づいて自分に呆れてる。うわぁ…好きなのに…好きなのに…!


もっとまともな返答が出来ないのか?!と思うたびに実際に出来てない自分がいるわけで。つまらないと思われて金輪際話しかけてこないかもしれないじゃんか。あぁもう…


これならいっそのこと「君が好きでうまく話せない」とか言ってしまおうか?でもそれってどう返事をもらったらいいんだ?みょうじさんを困らせて終わるなんて絶対にダメだ。でも遠巻きに伝えても彼女は少し天然だと噂もあるしうまく伝わりはしないだろうな…うぅ、もどかしい…


そしてなんやかんやであっという間に放課後になってしまった。これで「また明日」なんて挨拶したら今日はもう会えないんだな…あぁもう、めちゃくちゃ好きすぎてどうしたら…


『清田くん、今日も頑張ってね。』

「あぁ、うん。ありがとう。あのさ…」


もしよかったら、部活…見に来ない?よし、これでいいよ。自然に言えばおかしくないし、これくらいストレートに伝えないと伝わらないだろうからな…よし、今だ。言え!


「こ、このあと…もし時間があったら…その、部活…」

「清田ぁー!」

「……っ、」


なぜだ、なぜだぁぁ!なぜこのタイミングで…と後ろを振り返る。こちらに向かってヒラヒラと手を振るいつもの女子達がいて。あぁもう、呼ぶなこんな時に!せっかくの一世一代の大決心が…


「みょうじさん、なんでもない。じゃあ、俺…」


仕方ない、またの機会に…


そう思い彼女に背を向けた時だ。


「…?!」

『待って、清田くん。』


俺の腕はパシッと掴まれた。細く綺麗な腕が俺を掴んでいる。下から辿れば少し赤く染まった顔で俺を見るみょうじさんと目が合った。えぇっと、これは…これは…これは…?!


「えっと…」

『部活、見に行ってもいいかな?』

「えっ…!」


俺の手を掴み離さないみょうじさんはそう真っ直ぐ俺に問う。願っても無いチャンスに「う、うん!」と震えながら頷けば彼女はにっこりと微笑んでくれた。


『…あのね、チャンスが来たと思うから言うけど。』

「え、うん…?」

『清田くんのことが好きです。』


…いま、なんて…?いま、いま、俺のこと…


「…えっ、?」

『いまなら言えると思ったの。その…返事とかは別に…今すぐとかじゃなくて…』


俺のことを、好きだって言った?好きって言ったのか?好きって、その…意味わかって言ってるんだよな…?友達としての好きとかじゃないよな?


『お友達が呼んでるし…私は先に体育館に…』

「みょうじさん。」

『はっ、はい!』


んなことどうだっていい。俺は今、俺は今…


「俺も、みょうじさんのことが好きです!」


とても、とても嬉しい!そしてこのチャンスを無駄にするなと本能が叫んでいる。みょうじさんのことだから告白して俺も好きだと返事をしてもじゃあ付き合いましょうという展開に素直になるとは言い切れない。このまま曖昧でいたくない。俺はあなたが好きなんだ…!


『えっ…嘘…いや、でも…!』

「みょうじさん!」

『…はっ、はい…』

「俺と、結婚を前提に付き合ってください!」


だからって結婚を前提にしなくてもいいかなと思ったけど。これくらい言わなきゃ伝わらないんじゃないかって俺はみんなが注目する教室のど真ん中で彼女にそう交際を申し込んだわけだ。













「清田、明日オフなんでしょー?」

「なまえちゃんとデートっしょ?」

「あぁ、悪いな。カラオケはまた今度。」


そんな今度絶対来ないよねーと言われるも仕方がないだろう、そんなのは。俺だって久しぶりのオフなんだからなまえとのデートに使いたいんだよ。そもそもデートらしいデートをまだしたことがねぇし。


「…って、どこ行ったんだ?」


昼休み、彼女を探すも姿がない。珍しい…大抵は外に出ず教室にいるってのに…まさか呼び出されて告白されてるとか?!大いにありうるぞ、これは…


「この野郎…俺の彼女に何しやがる…!」


自慢じゃねぇし自慢どころか不安要素だがなまえはモテる。とにかくモテる。俺が教室のど真ん中で告り、あろうことか結婚まで視野に入れていて、その上いい返事をもらえたことは瞬く間に全校中の噂になった。けれども俺という存在がいながら相変わらず他の男に告られてるなまえ…可愛すぎんだよ…


「どこだー…いねぇな…」


うろうろと校内中を探す。すると階段の方から何やら男女の話し声が聞こえてくる。この声…なまえ…?なんか随分楽しそうだけど…なんでだ?!なんの話を…


「確かに掴みかけたら離すなとは言ったけどね。」

『だから言った通りにしたんですよ、今だと思って気持ち伝えたし。』


…なまえと、神さん?!どんな組み合わせ…とコソコソ見守る俺と楽しそうに笑い合う二人。えぇっと…えぇっと…?!


「まぁとりあえず良かったよ、二人がくっついてくれて。」

『ありがとうございました。神さんに相談して良かったです。』

「いや、俺は何も。」


盗み聞きなんて趣味が悪いけれどこればっかりは仕方ない。ふむふむ…ということはなまえは俺のことを神さんに相談してたわけか。え、俺よりも長い付き合いってこと?なんか…なんか…


「にしたって、信長に怒られないの?こんな人のいないところで俺と二人で会ってさ。」


そうだ、そうだ…!何もやましいことがないにしたって人気のないところで男と二人なんてのはいくら神さん相手でも…!


『大丈夫ですよ。』

「本当に?」

『だって、結婚を前提に…ですよ。そうなれば神さんとの縁は大切にしなきゃいけません。』


思いもよらない答えが返ってきて俺は目を丸くする。神さんは笑って「一生涯の付き合いってこと?」となまえに問う。


『もちろん。主人の大切な先輩ですから。』


そう言ってなまえは笑った。綺麗で美しくて誰もが見惚れるような笑みで。あぁもう…してやられた…とうるさい心臓を手で押さえる。「信長は幸せ者だね」と笑った神さんにかなりの嫉妬を覚えた。だってあんな綺麗な笑顔が向けられたのだから。


「うぁぁ、もう…いろいろずりぃよ…」


頭を抱える俺に気付くはずなくなまえは神さんに俺の話ばかり続けるのだった。







I love you from the bottom of my heart!


(あぁ〜嬉しいけどモヤモヤする…)
(いっそのことさっさと結婚しちまいたい!!)





mari様


リクエストをいただきありがとうございました!こちらに一緒にアップさせていただきました。本当にノブちゃんに対しての考え方が同じです。ギャルの友達がいそうだし人気者だけど彼女はふわふわとした柔らかい感じの子っぽいですよね(^^)めちゃくちゃ溺愛だったらいいな〜と私も思いました。神先輩を多めに出しましたが気に入ってもらえると嬉しいです。これからもたくさん遊びにきてくださいね!リクエストありがとうございました★











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