インハイ編







湘北は2年連続でのインターハイ出場を決めた。今年は海南大附属がインターハイ出場連続記録をストップさせ、1位が陵南、2位が湘北であった。


「......ナガレカワの彼女やん。」
『むっ....聞き覚えのある声....。』


準々決勝で、去年は初戦で当たった大阪代表の豊玉と再び当たることとなり、試合前に会場を歩いていたなまえは聞き覚えのある声に呼び止められた。


『南さん.....!』
「よう。また出てこれたんやな。」
『まぁ.....。』


思った通り去年流川の片目を潰した張本人、豊玉OBの南がポケットに手を入れたまま立っていた。私服は少し派手だがとってもオシャレである。少しだけ雰囲気も大人っぽくなった南はなまえをジッと見つめながら口を開いた。


「まだナガレカワの彼女であってるん?」
『あってますよ。なんか失礼な聞き方ですね...』
「そうか?別れるっちゅー可能性もあるやんと思っただけや。」


南はそう言うとなまえから目をそらし会場を見つめた。心の中は少しだけ騒がしく落ち着かなかった。何を隠そうなまえは流川の彼女だと去年からわかっていたことなのに、少しだけ可愛いなと思っていた自分がいて、一年経ったらなお可愛くなったような気もして胸が騒がしくなったのだった。


素直に認めれば、かなりタイプやねん。


それでもやっぱり二人は恋人同士であり付き合いも順調のようだった。入り込むつもりなんぞサラサラないがフリーだと聞けば少し喜んでしまう自分がいることも事実であった。


「ナガレカワ元気にしとるんかいな。」
『もうすぐ試合始まりますから流川のことも見てあげてくださいよ。去年よりもさらに磨きがかかってますよ。』


南に対しては少しだけ警戒心もあるなまえだがそうニッコリ微笑んで言えば南はほんの少しだけ頬を赤く染めながら「それもそうやな」と呟いた。


『南さんは大学でバスケ続けてるんですか?』


何気なく聞いたなまえの質問に南は「おん」と答える。


「やってるけどあんま強くないとこやねん。」
『そうなんですか....、』
「俺薬学部通ってんねん。それで大学選んだからバスケはオマケみたいなもんや。」


勉強がな......と呟いた南になまえは去年流川がよく効く薬をもらったことや家が薬局なんだと言ったことも思い出して納得していた。なるほど、家を継ぐわけだ....。


『そっか。じゃあとにかく勉強が大変そうですね....、頑張ってくださいね。』
「おん、ありがとな。」


南はお礼を口にするとそういえば...とポケットの中から何かを取り出した。


「これ、やるわ。」
『なんですか?......のど飴?』
「おん、これめっちゃ喉に効くねん。あとこれもやる。唇艶々になんで。」


何故だかポケットからは未開封の可愛いデザインのリップクリームも出てきてなまえは強引に受け取るよう渡された。仕方なくもらえば南は「ほな」と言ってその場から去っていく。


『なんでリップクリーム......?』













豊玉戦は接戦ではあったが湘北が勝利を収め宿舎へと戻った。勝ち進むにつれて流川は宿舎でのなまえとの二人きりの時間を狙うようになった。戦いの後は癒しが必要なんだと今日もまたお風呂上がりになまえを探しに出かけたのだ。


「...なまえセンパイ」


宿舎の自販機の前で何を買うべきか悩んでいたなまえを見つけては流川がミルクティーのボタンを押す。なまえは流川が決めてくれたとわかると途端に笑顔になり「ありがとう」とお礼を言った。


『イチゴミルクと迷ってたんだぁ....ありがとう楓さん!』
「いいえ」


片手にミルクティーを持ち笑顔のなまえを思いきり押し倒したい衝動に駆られ誰も見ていない隙に非常階段へと引っ張り出す。


『楓さん?こんな暗いとこ怖いよ....』
「大丈夫だ、俺がいるだろ」
『でも......、』


途端にシュンと縮こまるなまえ。流川にはそんなことすら刺激的に見えてたまらなくなって唇を重ねた。


「.....なんか、艶々してる」


パッと離しなまえの返答を待つ。普段つけているリップクリームよりもなんだかツルツルしていて滑らかな感じがしたのだ。


『あー...いいリップクリーム買ったんだよ!』
「ふぅん......これいい」


どうやら流川は気に入った様子で何度も何度も角度を変えて口付けを交わす。我慢しきれなくて微かに漏れるなまえの甘ったるい吐息が余計に興奮させてくる。自身の主張してくるそり立つそれをなまえに当てがえば遠慮気味になまえがそれに手を当てて触れてくれた。


「、なまえ」
『早く済ませないと誰に見られちゃうか.....』


やっぱりいつものようになまえは流川の言わんとしていることをわかってくれるのだ。非常階段の踊り場でゆっくりゆっくり、あまり音が立たないようにと二人は繋がった。


「こっち、向け」
『楓っ、.......』


流川は行為中何度も何度もなまえとキスをした。とにかく艶々で柔らかい唇がたまらなく好みだったのだ。なまえはそれに気付いていた。まさかそれが南にもらったものなんて口に出来るはずもなく冥土の土産にしようと堅く誓ったのだった。












こらこら、今はインターハイ真っ最中ですよ!!


(.....やべ、もう一回シてぇ.....)
(楓、.......勘弁してよ......いくら課題だったからって......体力つけすぎだよ.....)






Modoru Susumu
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -