■ 海南




『久しぶりだぁ〜ノブ〜!!』
「なまえさん!お久しぶりです!」
『ノブ〜!!!会いたかったァァ〜』

久しぶりに会った会いたくてたまらなかったなまえさんにギュッと抱きしめられて俺の気分は最高潮。いやぁ、いい匂い。なまえさんますます綺麗になってるし...マジで美人は最高だ!

「悪いな清田、なまえの気まぐれに付き合わせて」
「いいんすよ牧さん!久しぶりだなぁこの感じ」
『毎年この日に集まることにしたからね!あぁ懐かしいなぁ、泣きそうになってきたぁ...』

なまえさんは牧さんと同い年の海南バスケ部のマネージャーだった人で俺が密かに恋心を抱いていた相手でもある。今日は久しぶりに海南バスケ部で集まるって聞いてやって来たわけだが、表向きは牧さんが海南大4年の時にインカレで優勝してそれから丸2年経ったというメモリアルデー的な集まりらしい。いやぁ社会人になった牧さんもカッコイイな。スーツビシッと似合ってるぜ。

『ノブ〜就職決まったんでしょう?おめでとう!』
「ありがとうございます!」
『偉いよ!あとは卒論頑張ってね』

いやぁなまえさんに言われたら頑張れそう。相変わらず美人で眩しいぜ...そういえば彼氏とか出来たのかなぁ?こんだけ美人だから困りはしないだろうけど当時から牧さんと噂があったけどやっぱり2人はそういう感じなのだろうか...うーむ?でもそうにも見えるし友達にも見える...俺にチャンスは...うーむ??

「そういえば神さんは?」
『神くんもうすぐ来るよ、ノブの大好きな神くんね』
「カッカッカ、よくお分かりですねなまえさん」

去年大手の企業に就職を決めた神さん。俺の大好きな先輩。そういえば会うの久しぶりだなぁ。神さん就職してから常に忙しそうだったもんなぁ...全然メシ行けてないし、今日誘おうっと。

るんるんで他の先輩たちとも話をしていると扉が開いて会場内にスーツを着こなしたスタイル抜群の神さんが入ってきた。ヒィィ、相変わらずイケメンだな神さんは...!

「神さーん!」
「おぉ、信長!元気にしてた?」
「はい!神さんもお元気でしたか?」
「もう毎日仕事でクタクタだよ」

ネクタイを少しいじりながらそう言う姿が超カッコイイ。イカすぜ神さん!

「あ、牧さんたちに挨拶してくるね」
「俺も行きますよー!」

神さんについていけば牧さんはなまえさんの隣で楽しそうに話をしていて少しだけ胸がギュッとなった。もう、マジでお似合いなんだから...

「牧さんこんばんは、お久しぶりです」
「おぉ神、久しぶりだな」
『早かったね、もう少し遅れるかと思った』
「結構飛ばしてきたからね...」

なまえさんはニコッと神さんに笑いかけて俺は神さんを心底羨ましいと思ったわけである。あぁ、女神の微笑み。たまらんなぁ...

「ねぇねぇ神さん、なまえさんと牧さんて付き合ってますか?」
「え?...いや、それはないと思うけど?」
「ホントすか?!俺にもチャンスあるかなぁ?」
「...信長、なまえさん狙いなの?」

いやぁ、高校の時は恐れ多くて内に秘めてるだけでしたけど!なんて言えば神さんは楽しそうに笑ってた。少しだけ大人になった今ならチャンスはあるかもしれないし...!

「頑張って話しかけてみようかな」
「うーん?どうだろうね?」
「もう他にチャンスない気がするんすけど...当たって砕けろ俺!」

勇気を振り絞ってなまえさんの元へ行こうとした時不意に神さんに腕を掴まれた。ふぁっ?!どうかしましたか?

「?」
「待って、俺の話、聞いてからにして?」

そう言うと神さんは会場内にあるステージの上へと上がっていった。お?何する気だ?みんなが一斉に神さんに視線を集める。

「遅くなりました、こんばんは神宗一郎です」

マイクを片手にそう話し出す神さん。なんだ?どうしたんだ?

「この場を借りて皆さんにお伝えしたいことがあります」

お?神さんどうしたんだ?
そんな呑気なことを思っている俺の背筋が凍ったのはこの数秒後である。

「私情ではありますが、この度結婚することになりました。お相手が...」
『へへへ、私です』

ッ?!?!?!

「それと同時に新しい家族も増える予定です」
『みんなにこの場で報告できて幸せです〜』












優しく彼女のお腹を撫でる神さんと目が合って俺はこの世の終わりを感じましたとさ

(しししししし知らなかったじゃ済まされねぇ...)




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