■ 番外編A





◎もし山王マネなまえちゃんが一之倉じゃなく沢北に惚れていたら







『お疲れ様ぁ...ハイ沢北』
「ありがとうございます...!」


どんなにしんどい練習だって全然へっちゃらだと思える理由はここにある。このなまえさんだ。なまえさんという存在そのものが俺にとって全てを忘れさせてくれる癒しなのだ。そりゃ体は疲れてるよ?心ね、心の話さ。


「なまえさん、今日自主練付き合ってくれません?」
『いいよー』


時たま自主練に誘う。帰り家まで送って行けるからだ。でも毎日誘うのは時間も遅くなるしよくないかなぁって遠慮してて本当に月に5回くらいなんだけども。よし、これで今日も最後の最後までぶっ倒れずに頑張れそうだぞ...!


「なぁにニヤニヤしてるピョン」
「痛ッ...叩かないでくださいよ!」
「なまえと2人で帰れるから陽気だピョン」
「?!...図星突かれた...」
「元気そうだから特別メニューにするピョン」


とりあえず30周走れピョンと言われてとりあえず俺はその場で深津さんに土下座したわけだ。勘弁してくれそんな体力どこにも残ってねぇっすよ!


「本当は羨ましいんだろ、深津」
「松本さん...それどういう意味っすか?」
「沢北となまえぐらいだな気付いてねぇの」


深津、なまえのこと好きなんだよ
そう松本さんに言われ目を見開いていたら松本さんは深津さんにボコボコにやられていた。えぇっ?!ピョン吉先輩マジすか?!


「そうなんすか深津さん...!」
「別に沢北には関係ないピョン」
「ありますよ!だって俺もうすぐ...」


なまえさんの彼氏になります!って言おうとして途中で羽交い締めされた。痛ぇぇえ!ギブギブ!


「ギブっす!痛っ!」
「自惚れるなピョン」


いやでも実際嫌われてはないと思うどころかだいぶ好かれている方だと思う。俺だってもちろん入学の時からなまえさんのことが好きなわけで...アメリカ行く前に告ろうとも思ってるし邪魔しないでほしいなぁピョン吉よ!


「誰が邪魔だピョンさっさとアメリカ行けピョン」
「痛っ!やめてくださいってばぁ!」


アメリカ行って忘れられちまえピョンとかそれ先輩が言うセリフっすか?ほんとひでぇや...




練習が終わりみんながさっさと帰った後、俺となまえさんは2人で黙々と自主練に励んでいた。この人が隣にいてくれると驚くほど練習に集中出来るんだよなぁ...女神...


『沢北、夏が終わればアメリカだね』
「はい...日本で最後の夏です」
『なかなか沢北のバスケも見れなくなっちゃうなぁ』


寂しいよって呟かれて俺は自然と顔が熱くなった。いやぁこの人から発せられる言葉には破壊力がありすぎる。実際俺もめちゃくちゃ寂しいんだけどいつか立派な男になってなまえさんを迎えに来るためにもここは頑張らないといけないんだ。俺クラスになれば先々を見越して今行動するからな、ふんっ。


「また日本に戻ってきますから」
『うん...待ってるよ、ずっと』
「全てにおいて成長して帰ってきますね」


そう俺が言えば嬉しそうにコクコクと頷いたなまえさん。本当に無邪気というかなんというか...俺のシュート練習に付き合ってくれているなまえさんは淡々とボールを拾っては俺に投げ返してくれる。


『沢北、あのさ...』
「なんでしょう?」
『アメリカ行ってもバスケだけ集中してやるんだよ』


他のことに気を取られたらダメだからねって少し強めの口調で言われてその他のことが指す意味がわかった気がしてついついにやけた。あぁなまえさん本当に可愛い。アメリカ行くのやめたいくらい可愛い。


「なまえさんしか見えてないので大丈夫っす」
『...エッ...』
「必ず迎えに来ます、その時は...」





俺の奥さんになってくださいね

(...よろしくお願いします)
(よっしゃあ!見たかピョン吉先輩!)
(......沢北、許さないピョン)






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