■ 湘北


** 上記の話にある山王マネージャーで一之倉に片想い中、後に藤真の奥さんになるなまえちゃん高校時代の話です。





インターハイ1回戦、豊玉に勝った俺たちは次の試合を見て行こうとスタンドへ移動していた。マジでしんどい...けどそうも言ってらんねぇな、次は王者山王とだからな...そんなこと思いながら歩いてたら不意に何かと肩がぶつかった。近くからワァッ?!という女の声がしてぶつかった相手が女だとわかり俺はたちまち慌てたわけだ。

「大丈夫?!ちょっと三井サン何してるんすか!」

謝るより先に宮城に怒られた俺は申し訳なく床に倒れ込んだ女に手を差し出すとその手にこれまた申し訳なさそうに自分の手を重ねる女と目が合った。

(...ヤベェ、超可愛い...)

「あ、悪い、立てるか?」
『こちらこそすみませんでした!お怪我ないですか?』
「あぁ俺は全然平気だけど、大丈夫か?」
『大丈夫です。ありがとうございます』

ゆっくり立ち上がるとペコペコ俺に頭を下げるその女はどこからどう見ても可愛いかなりの美人で俺はついつい顔が赤くなってしまったわけだ。だって今一瞬手握ったもんな、女に対する免疫無さすぎだろ俺...

「こんの三井サンがごめんね、無事でよかった」
『私が前見てなくて...お怪我なくてよかったです』

さっと前に出て話し始める宮城も若干顔が赤くなってやがる。なんだコイツ彩子一筋じゃなかったのかよ、気持ち悪ぃ。

「すっごい美人だけど...どこかのマネージャー?」
『アハハ、私は秋田の山王工業のマネージャーです』
「山王ね!秋田の...秋田の...山王?!」

宮城の声につられて俺もへぇ、秋田の山王ね、秋田の...秋田の山王工業?!となったわけだ。隣の赤木さえもエッと声を上げている。えぇ?!あの王者山王に似つかわしくないこの美人がマネージャーなのかよ?!ええぇぇ?!ありえねぇ...

「お、ヤマオーのマネージャーさんですか!」
『ヤマオー...ヤマオ...あぁそう!ヤマオー!』

漢字で書くとね!なるほど!なんて桜木の言葉に楽しそうに納得してるけどいやいや、そんなの無視しとけばいいのに何ケラケラ笑ってんだよ...しっかし笑った顔も超一流だな。可愛すぎんだろ人形みてぇだな...

『次対戦する湘北の桜木くんだよね?』
「そうっす!天才桜木、リバウンド王桜木!」
『見てたよ今の試合!それにしてもすっごい綺麗な赤い髪...』

触ってもいいかなぁ?!なんてキラキラした目で桜木を見つめてるけど、なんだ?コイツ天然なのか?変わった奴だな、美人は変わった奴が多いのか?うーむ?わからん...

「どうぞどうぞ」
『うわぁ...いいね!気持ちいい!ありがとう!』
「いえいえ、またいつでも言ってくだされば...!」

ニコニコニコニコしながら桜木と話している。いや、マジで山王のマネージャー?こんな抜けてそうな感じで務まるのか?うーん...不思議だ...

『あ、流川くん目大丈夫?』
「うす」
『どれどれ、あーこれは結構ひどいなぁ...』

流川を見つけるとグイグイ近づいて行って自然に目の傷の観察を始めた。流川も思わず一歩後退りしている。

『にしても、本当に綺麗な顔だねぇ...』
「...む」
『あのバスケセンスでこの顔かぁ、そりゃイコール親衛隊だわ』

ひとりでぶつぶつ呟きながらウンウンと納得している。そんな様子をウザがることなく流川はジッと見つめていた。コイツなりに思ってんのかな、美人だなって...女に絡まれてため息つかねぇ流川は初めて見たぜ...

『あ、三井さん、ですよね?』
「あ、あぁ、そうだけど」
『スリー得意なんですね、綺麗で驚きました』

いやいやそりゃこっちのセリフだろ、山王のマネージャーがこんなに美人で俺の方こそ驚きましたけど?!えぇ?!

「サンキュ、つーか何年?」
『3年です』
「は?なぜ敬語なんだよ?」
『あ、確かに...三井さんとか呼んじゃった』

隣で宮城が同い年かと思ってタメ口使ってすみません!とか必死に謝ってたけどいいのいいの若く見えて嬉しいとかなんとか返してた。すげぇななんつーかもう馴染んでるぜ普通に...

『...強いから対戦するの嫌だなぁ』
「ハッハッハ、ヤマオーは俺が倒す!」
『えぇぇ、それは困ったなぁ...』

本気で困ったような顔をしてなんとかしないとなぁとかぶつぶつ呟いていた。なんだかほんと笑ったり困ったり忙しい奴...

『あ、イチノ発見!...それでは試合の時はお手柔らかにお願いしますね!』

もう一度俺に謝ってからその場を駆け足で後にしたソイツは”イチノ"と呼ばれた男の元へ走って行った。何やら必死にそのイチノに話しかけている。うん?なんだか様子が...

「あのイチノって人のこと好きなんすかね?」
「なんだかそんな感じだな...」

明らかそんな感じに見えてふぅん...なんて思ってたらイチノがこっちをパッと振り向いてペコッと頭を下げてきた。多分湘北に会ったとかなんとか説明したんだろう。その後軽くイチノに頭をゲンコツされて2人は会場を出て行った。叩かれたのに妙に嬉しそうなマネージャーの顔が頭から離れなかった。









少し羨ましいと思っていたそのイチノが俺につくなんて思いもせずに...

(イチノ!湘北の人に会ったよ!)
(...次の対戦相手か?何してんだバカ)
(痛いよッ!暴力反対ー!)
(フラフラ歩いて友達増やしてんじゃないよ)




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