ありのままに、 | ナノ




04


そして次の1日が始まる。


「おはよ、朔夜!」

「…おはよ、立花」


俺の平和な時間はコイツにあった瞬間霧散する。


「お、今日は椎名も一緒なんだな!」


遅刻常習犯の椎名が隣で欠伸しているのを見て立花は珍しいものを見るような目で見ている。


「…そ?ま、立花にはカンケーないっしょ」

「おい、有里にんなこと言うなよ!」


投げやりな椎名の態度に文句を言ったのが立花の後ろにいた倉持だった。
今日も金魚のフン宜しく立花にベッタリらしく、鋭く椎名を睨みつけている。
一匹狼のポディションにいた倉持だったが、よく分らんうちに絆されて立花信者になっていた。
赤く染められた髪に目つきが悪いまさに不良といった奴だが、顔立ちは整っているため親衛隊持ち。
もちろん、椎名のとは違い過激派。


「別にいいだろ?俺の勝手なんだし」

「なんだと!?」

「やめろよ海斗!俺なら平気だからさ!」


立花に止められて渋々引き下がる倉持を見て椎名は鼻で笑い、まだ何か言おうと口を開きかけた。
だがその直後にバレないよう足を踏みつけてやったら、口を閉ざして大人しくなった。
急に黙りこくった椎名を不思議そうに立花が見ていたが、素知らぬ顔を突き通す。


「あ、そうだ!俺のこと名前で呼んでくれっていっつも言ってんのに何で2人とも名字でしか呼ばないんだよ!」

「いや、俺あんまり名前で呼ぶの慣れてなくってさ…」

「同じく」


少し困ったような表情で言ってやったら途端立花が泣きそうな顔をする。
っていうか椎名、同じくってなんだよ。


「お、俺…朔夜と俺、親友じゃなかったのか?」


いやいや、待て。今おかしい単語が聞こえてきたぞ?
俺と、立花が、親友?親しい友と書いて親友??
隣に立っていた椎名も珍しく目を見開いている。どうやら眠気も吹っ飛ばす程の威力だったらしい。


「俺、別に立花と親友になった覚えはない、かな…?」


あー優等生設定まじメンドい。
これなら一発殴って大人しくさせたほうが早いような気がしてきた。
だがまだ平和な日々を諦めきれない俺は困ったような表情を崩さずなるべく優しげに言ってやった。
だが俺のそんなささやかな気遣いでさえ立花の前では紙切れ同然だったようだ。


「そんなことない!俺とお前は親友なんだっ!ここに転入してきてまだ誰も友達がいなかった時、朔夜が話しかけてくれただろ!?」


それが何だ、と言わなかった俺を誰か褒めてください。



[ 5/108 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -