A
「ちげーって言ってるだろ!」
最初の神妙な顔が少しずつ崩れていっている
借りてきた猫の皮も何十枚とあったのにもう残り数枚、というところか
『じゃあ一体何のようなのよ…』
先程から話がまったく進まないことにイライラして問いかけるが何故か口ごもるイッキ
そんなに言いにくいことなのだろうか
ただの一介の友達である自分にそのようなことを相談されるのは信頼されているみたいで、少しだけだけど嬉しい
しかし、こんなに悩むぐらいだったらリンゴやカズたちに言ってくれと思う
『そんなに言いにくいことならカズとかに言えばいいじゃん、もう』
「アイツらに言ったところで何も意味ねぇし。いや、言ったらむしろ悪化する」
『じゃあ早く言って』
「お、おぅ…」
これ以上引き延ばしたら聞いてもらえないと気づいたらしいイッキは一度大きく深呼吸した
「…なぁアオイ」
『何よ』
「お前、俺のこと好きか?」
『…………はぁ!?』
思わずイッキの顔をマジマジと凝視する
『…アンタ、まじで大丈夫?』
本気でイッキの頭のなかが心配になった
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