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スクリーンに大きく、パイプの中で肉ダンゴ状態になっているブッチャが映し出されていた

ヘカトンケイルの技、"ジガバチロック"がキまったらしい

ギャラリーはヘカトンケイルが勝ったと騒いでいるが、朱音は冷静だった

リンゴとDJも気づいたようだ――その不自然さに


【…URY?いやちょっとマテ。なんだこれは?これはなんのマネだ、ヘカトンケイル?】


右手が左に、左足が右に―――つまり、ねじれている状態になっているのはヘカトンケイル

ブッチャは彼の凄まじい回転を力技で止めていたのだ

不可能を可能にしたのは、ブッチャの"バンプ・アップ"の存在だった

ブッチャはその巨体からデブだと思われがちだが、実際は彼の体脂肪率は10%そこそこしかない

あのたるんだお腹の中身は、常人離れした大食が生んだ大量の血液

鍛え上げた全身の筋肉でその血を任意の部位に流し込むことによって、一時的に凄まじい筋力を生み出すことができるのだ

しかし相手はベヒーモスの"ヘカトンケイル"――そう簡単に勝てる相手ではない


「…まさか…俺のジガバチロックを止めれる人間がこの世にいるとは思ってなかったからよォ…あまりのショックに気絶してただけだわ」


関節を外してダメージを最小限に抑えていたヘカトンケイル

――その目に、"本気"という火がついた


「ノボせてんじゃねぇよ黒ブタ!こっからが本物のポーク料理だ!!」


その長い手足を利用した、全方位からのパンチ――"殺陣蜂百の手"


【デ、デリシャアアアス!!いや!しかしあのブタにはバンプ・アップという必殺技があるぜ!】


いや、それは無理だろう――朱音は目を細めてスクリーンを見つめる

アレは体の隅々までかなりの負担がかかるはずだから……連続使用は間違いなく無理だ

ブッチャの皮膚がケタ外れのパンチ数による摩擦熱によって燃え上がる


「黒ブタチャーシュー、いっちょあがりだ!」


その光景を見て、観客は盛り上がる



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