silver wolf | ナノ




16



「……」


カナタさんはまたか、とでも言いたげなため息をついて後ろを振り返った。


「なんか用か?」


「用?用なんてあるわけねェだろ!呪われた銀持ちが喋りかけんじゃねェっての!」


周りにた仲間らしき人たちとバカみたいに笑うその男たちにカナタさんは何も言わない。
もう慣れている…諦めていると言わんばかりに全てを無視して男から目線を外す。
……こんな酷いこと言っても許されてしまう程、この世界で"銀"という色は不吉なものらしい。


「そーいえばよォ。俺らこの間お前のお仲間に会ったなァ。まっ裸で男のブツ尻ん穴突っ込まれてヒーヒーヨガってて意識トんでたけどな!!」

「ありゃ傑作だったな!俺も混ざったけどありゃ10人は軽く相手してるな、穴が緩くて全然イケやしねーの」

「おいおい、それはお前が下手くそなだけじゃねーの!?」


ギャハハハハと卑猥な話で盛り上がっている男たちを見てると吐き気がこみ上げてきて思わず視線をそらす。
酷い…酷過ぎる。
どんなに酷い扱いを受けても、それが銀を持つ人だったら仕方がないと片づけられてしまうのだ。


「お前も欲求不満なんじゃねーの?」

「俺達がいつでも相手してやってもいーぜェ?」


ずっと黙っているカナタさんに次々と酷い言葉を浴びせる男たち。


「…っお前ら…!」


我慢できず、男たちのもとへ文句を言おうと足を踏み出そうとしたが、それよりも先にカナタさんが動いた。

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