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中は外観とは反対に洗練されたバーみたいな内装だった。
カウンターとテーブル席に別れており、人もそれなりに多くいる。
「ここがギルド"ALC"だ。あっちのカウンターで職員から依頼を受けることができるシステムになっている」
キョロキョロと見渡しているとカナタさんが説明してくれる。
「依頼は何ランクかの難易度別にファイリングされていて、俺らの実力にあった依頼を差し出してくる。高ランクほど当然報酬も高い」
「へー…」
「内容も討伐系と諜報系の2パターンに分かれてるんだけどな。不相応な依頼を受けると待っているのは死だ」
「死ぬ…」
「死んだってギルドの人間にゃ何の責任もねェ。むしろ契約不履行だと言ってくるぐらい神経は図太い人間の集まりだ。間違っても安請負すんなよ」
この世界じゃ本当に言葉一つで命の危険にもさらされてしまうんだと改めて認識する。
口約束がここまで効力を持つこともあるのだといい勉強になる。
「チッ…アイツはいねェか…」
カウンターを眺めてカナタさんは舌打ちをこぼす。
どうやらお目当ての人はいないらしい。
そうしている間にもあの不愉快になる視線がいくつも俺達に突き刺さる。
いや、街のとは違い、ここの人たちから感じる視線はハッキリと悪意を感じる。
嫉妬や敵意……どれもこれも全てカナタさん1人にのみ向けられていた。
「おーやまた来てんのかァ?銀持ちの坊ちゃんよォ」
その悪意は明確な形を持って突きつけられる。
後ろを振り向くと体の大きい…たぶん40代ぐらいの男がニヤニヤと笑いながらこちらを見ていた。
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