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13



ガキィン!!


刀と刀が交わり、鋭い金属音が響き渡った

咄嗟に一護は斬月でその攻撃を防いだが、もし反応が遅れたら確実に彼女の刀は自分の心臓を捕えていた


「おい佐藤!!目ェ覚ませ!!」


力まかせに刀を振り払い、声を張り上げて彼女に呼びかけるも返事はない

怯むことなく再び接近し、躊躇なく刀を振り下ろす亜希をただ一護を防ぐしか手段はなかった


「ふふ…攻撃しないの?お兄ちゃん」


すべり台の上に移動して高みの見物をしていたミヨは楽しそうに笑っている


「なんてね……できるわけないよね。お姉ちゃんの体を攻撃できるわけないよね」


生身の体である亜希の体は、当然致命傷にあたる傷を負えばそのまま死に至る可能性だって十分ある

生身の体で斬魄刀を扱う彼女の体が今どうなっているのか…一護には想像もつかない。下手に攻撃をして刺激するわけにはいかなかった

だが躊躇する一護とは反対に亜希は一切の迷いを見せずにただ一護を殺すためだけに刀を振るっている

体育は苦手だとずっと前言っていたはずなのに、今の彼女は軽快な動作で刀を振るっている。その動作は戦いなれているとさえ言えた


「今のお姉ちゃんは人間が無意識に力をセーブしているストッパーを壊した状態……その動きは人間としてはこれ以上ないものになったけど……体に過大な負荷がかかってるから、無理をさせるとお姉ちゃんの体……壊れちゃうかもね」


限界を超えた動きは人間にとって毒でしかない

本人の能力を越えた力は人間の体を少しずつ壊していく


「佐藤…っ」


ついこの間まで普通の内気な少女だったとは思えない力で斬月を押してくる亜希の名前を呼ぶも、その声は届かない

傷付けるわけにもいかず、だけどこのまま守備に徹していても何も進展はしない

ならば―――そもそもの元凶を、倒せばいい

一護の目線は亜希から無防備にすべり台にいるミヨに移される

あの少女を倒せば、きっと亜希は元に戻るはず…!

なおも刀を振るう亜希をやり過ごし、つくった隙に一護はすべり台へと駆けよりミヨに刀を振りおろした

避ける様子もなく、楽しそうに斬魄刀を見ている少女

迷うことなく、一護はそのまま刃を少女の頭上におろそうとするが――その間に、1本の刀が斬月を止めた


「な…っ!?」


驚きに一瞬動きが止まり、その間に彼女の刃は一護の首を狙って振るわれる

間一髪、それを避けた一護の鎖骨あたりには一本の血の筋ができていた


「ふふ…無理だよ死神のお兄ちゃん。お姉ちゃんには私を守ることが一番優先させるように言い聞かせてるもの。お兄ちゃんは私に指1本触れることはできないよ」


「くそ…っ」


少女の隣に立つ亜希を救う術を見つけることができず、一護は眉をひそめた

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