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14



「さぁ…もっと殺し合って!もっと私を楽しませて!もっと…もっともっともっと!その絶望に満ちた顔をもっと見せてよ黒崎一護!!」


狂気に満ちた声で戦いを煽る少女

楽しそうに、殺し合いを強要する

まるでショーか何かのように…無邪気に、濁った瞳を輝かせていた

その言葉に従うように、亜希は刀を振るう


「…ッ、おい佐藤!!いい加減目ェ覚ませよ…っ!!」


何を言ってもどれだけ言葉を重ねても、人形のような瞳は何も変化はない

凍ってしまったかのように、感情なんてなくなったかのように――何も、映さない


「佐藤……っ、亜希!!」


今まで一度も呼んだことのない、名前を無意識のうちに口に出していた

こんな些細なことで、彼女の意識が戻るだなんて思えないというのに……何故か、一護はそれを口にしていた


「何度呼ぼうが無駄だよ、お兄ちゃん!もうお姉ちゃんの心は完全に壊したんだもん。その壊れた心も既に私が支配した!お兄ちゃんの言葉は絶対に届かない!」


無駄だとばかりにミヨは嘲うが、それでも諦めることなく一護は彼女の名前を呼び続けた

例え心が壊れてしまったのだとしても……もう一度、再び直せばいい

壊すのが人間なら、直せるのもまた人間なのだ

今度は、ここまで追い詰めてしまう前に必ず――必ず助けたい…いや、助けてみせる

佐藤亜希という人間は、決して目立つことはないけど心優しい、一緒にいるだけで不思議と落ち着くことができる少女なのだ

こんな事……人を傷つけるような真似なんて、できるわけがないのだ


「…っ俺が…俺が、助けてやる…今度こそ、必ず……!――亜希!!」


ここまで追い詰めてしまう前に、今度は必ず気づいて助けてやるから

だから、だからその瞳に、俺をちゃんと映してくれ

ガラス玉にではなく、佐藤亜希という人間の瞳に…


「ははっ!無駄、全部無駄だよお兄ちゃん!幾千幾億の言葉を募ろうと、もうお姉ちゃんの心は――」


得意げに語っていたミヨの言葉が、途中で途切れた


『―――、』


鍔迫り合いをしていた一護は、その変化がよく分かった

カタカタと刀は耳障りな金属音を断続的に響かせており、それは少女の体が小刻みに震えているからに他ならなかった


『――――き、くん…』


人形のように何も感情がなかったのが嘘のように、その瞳にはハッキリと感情が映し出されていた


『……たすけて……っ』


瞳を多大な恐怖で揺らしながら、確かに少女は少年に助けを求めた

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