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視界からあの2人の姿が消えた
「な……!?」
斬月を構え、辺りを警戒するように見渡す一護
まるでこの公園だけ世界が切り離されてしまったかのように、ただただ違和感だけがつもっていく
直感で感じる。コレは外から守るためではなく中のものを閉じ込めるために作られたということを
「……誰だ!出てこい!!」
姿を現さない虚に声を荒げた時
―――くすくすくす…
この場に酷く似合わない、幼い笑い声が響き渡る
「くすくすくす……お姉ちゃん、すごいすごい!ちゃんと言った通りにできたね!」
声が聞こえたのは背後からだった
「これで今、この世界には私とお姉ちゃん、そして……」
振り返った先に見えたのは、2つの人影
「ふふ…お久しぶり、オレンジ色の死神さん。"あの時"の借りを返しにきたよ」
亜麻色のふわふわした髪と、青い瞳を持つ白い服を着た幼い少女
「ね、お姉ちゃん」
「……なんで……なんでここに、」
亜麻色の少女の隣に立っているのは、制服を着た女だった
短いスカート、着崩された制服……だが、その制服は非常に見慣れているものだ
「……佐藤、か…?」
藍色の髪の隙間から見える瞳は、まるでガラス玉のように色がない
まるで人形のように、ただ少女の隣に存在していた
1週間、行方不明だった佐藤亜希
だが、そんな彼女の小さな手には不似合いな……1本の刀が握られていた
『………』
一護の驚きを映した瞳と、ガラス玉のように何もない瞳がぶつかった
何もなくなった、拒絶の色(色のないそれに、恐怖を感じた)
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