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07

1日2日なら、ありふれた高校生のプチ家出だと思われただろう

だがそれが4日5日、そして1週間となれば噂話に花をさかしていた人たちも顔色を変えざるを得ない


「……おい、まじでアイツ死んだんじゃねーの?」


「え、縁起でもねェこと言ってるんじゃねーよ!」


「だけど1週間って…相当、じゃない?」


「ここだけの話、家に警官の人来たよ。何か知ってることないか聞かれたってお母さんが言ってたもん…」


「マジで?実は私のところにも……」


笑って冗談を言える状態ではなくなっていた

数日前とはうって変って声をひそめ、コソコソと話す姿がそこら中に見受けられる

もしかしたら事件に巻き込まれたのかもしれない。だが、ここまで音信不通になれば、もう一つの可能性も浮上してくる

それは彼らが一番恐れている事態――――そう、"自殺"だ


「私、何も知らないって言っちゃったんだよね…」


「し、しょうがないよ…言えるわけないじゃん……」


「だいたい"それ"が原因だって分かったわけじゃねぇだろ?な??」


焦りの滲ませた声で宥められても効果はないだろう

ここまで事態が大事になると誰が予想しただろうか?

だけど誰もが"自分は悪くない"と考えていた。"皆がそうしていたから"――"井上織姫のために"その言葉を免罪符にして、皆が有意識的に逃げていた

流れることを忘れた淀んだ空気が、慢性的に皆の首を真綿のように締めていた


「………」


その空気から逃げるように、一護は教室から出て行く

1週間――時間が経てば経つほど淀んだ空気が濃度が濃くなっている気さえする

啓吾も水色もチャドも、ここ数日はとても静かだった

それとは逆に、織姫は一人だけ明るかった

……いや、明るく振る舞っていた、と言ったほうが正しいだろう

淀んだそれを必死で振り払おうと、いつも以上に明るく笑う彼女の姿はいっそ憐れですらあった

何故織姫がそこまで明るく振る舞うのか、その理由を一護は知る由もない














「……アレが、お姉ちゃんを苦しめるモノだよ」


その姿を、遠く離れた場所から見つめる人影が―――2つ


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