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13 非現実的な現実

【第3話】



『――はぁ…』


やっと1日が終わった

亜希はため息をつきながら家にと続く道を歩いていた

1日中ずっと見られたせいで妙に肩がこっている…ような気がする

たった1日でこんなに精神的に疲れてしまったらこれから一体どうなるんだろうか…


『はぁぁぁぁ…』


≪お姉ちゃん、今日は元気ないんだね≫


『いろいろあってね…』


突然隣に現れた女の子を驚きもせずに普通に会話を続ける


≪ふーん…大変なんだねお姉ちゃんも≫


『でもミヨちゃんの顔をみたら少し元気でてきたかも』


お世辞でも何でもなく、本当に先程までの憂鬱さは少しだけなくなっていた

そう言えば嬉しそうに笑うミヨちゃん


今、普通に話しているが……ミヨちゃんは俗に言う"幽霊"というヤツだ

車にはねられて死んでしまったらしいミヨちゃんが道路に蹲って泣いていたとき亜希が話しかけたのがキッカケで、ミヨちゃんは時々こうやって遊びにくる。

当時小学校6年生だったミヨちゃんだが、妙に大人っぽい思考を持ち合わせていて今では亜希のよい話し相手となっている



『また明日新しいお花持ってくからね』


≪本当!?いつもありがとねお姉ちゃん!≫


だがいくら大人っぽいといってもまだ小学生

笑った顔は年齢に見合った幼さがでてくる









亜希にとって幽霊はとても身近な存在だ

会話ができ、触れることもできるからまだ小さかった時は生きている人間と幽霊の区別がつかなかったときもあった

姉の凪も亜希ほどではないが霊感はあったから、幽霊と喋ったりできることは特別おかしいことだとは思わなかった

これは両親も知らない、2人だけの秘密









≪明日来てくれるなら私のお友達も連れてくるね!≫


『友達?』


≪うん。ほら、大通りでこの前事故があったでしょう?そのときの男の子よ≫


その事故なら知っている

商店街に面したけっこう大きな通りで起きた、大きな事故だった

飲酒運転だったトラックが男の子をひき殺したのだ

男の子は即死で、トラックの運転手は軽傷だなんてなんとも理不尽な結果だろうか

少し前にその事故現場で男の子のために手も合わせたこともある



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