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09





ガラガラ…ガラ


ドアを開けた瞬間突き刺さる数々の視線


『………』


俯き加減で自分の席に足早に向かう

先程の決意なんてとうに消え去っている

廊下とは違い、教室は物音一つしない

ジッと見られているのがよく分かる

なのに"音"は自分の歩く音しかしないのだ


トコトコトコ…


なるべく人のいないところを通り抜けていく


トコトコ、


『っ!!』


ガタガタッ


「あ、ごめんね?」


私足長いからさーと言って足を引っ掛けてきた人はあざ笑う

あまり喋ったことのない人、だと思う。名前が思い出せないから

というか最近足を引っ掛けるのが流行りなのだろうか?

廊下でも転ばされ、今回もまた見事に引っかかった

運動神経が悪いとこういう時に不便なんだなーと内心呟く余裕があることに自分で少し驚いた

やはり人間慣れる生き物らしい


「いつまでもそこにいられたら邪魔なんだけど」


「ほんとほんと!」


「まじ目障り」


アハハハハ、と楽しそうに笑う人たちの間をすり抜けて自分の席にたどり着いた

心の底からホッとして座ろうとしたとき……


『……何、これ』


机の上に何か書かれていることに気づいた

ふざけるな、バカ女、死ね…他にも様々なことがシャーペンで書かれている

シャーペンで、ということは消せる

ここらが小学生とは違うというところか

油性ペンだと先生たちにバレる可能性だってある。その点消せるなら証拠も残らないし、地味に嫌がらせにもなる

誰がやったのだろうか…いや考えるだけ無駄だろう

このクラス中の誰だって可能性があるのだから

大人しく席に座って消しゴムで落書きを消していく


――1日は、始まったばかりだ




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