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08 殻は自分を護るため

【第2話】



――ねェあの子でしょ?


――あぁ。あの同じクラスの子いじめてる子って


――人って見た目で判断しちゃだめだって見本のような奴じゃん




クスクスとそこら中から囁き声が聞こえてきて耳を塞ぎたくなる衝動を抑える

噂というのはやはり出回るのが早い。……特に悪い噂は




――井上織姫って子、可哀想にね


――あぁ、あの可愛い子ね



教室までってこんなに遠かったっけ…?

まるで1秒が1分にも感じられる

人の"悪意"がこんなにも鋭いだなんて…



――っていうかよく学校に来れるよな


――図太いっていうか…バカじゃねーの?


――神経疑うよな、まじで



ドンッ


『…っ』


「あら。ごっめーん。全然気づかなかったわぁ」


「つーかまじで気づかなかったし」


「あんたらマジひどくない!?」


キャハハハ、と笑いながら去っていく派手な上級生を下を向きながらひたすら耐える

…なんでこんな目にあわなきゃいけないの?

霞む視界に慌てて目をこする

ここで泣いてる余裕なんてない

よし、と心の中で気合いを入れて立ち上がる

パンパンと軽くホコリを払って…また歩き出す

何も、人に恥じるようなことはしてないのだから堂々としてなきゃ

姉にも言われたことだ。
"自分が悪くないのに謝らないの"、と

俯きそうになる顔を無理やりあげる


『がんばらなきゃ…』


こんなところで泣いてなんていられない…泣いてはいけない

涙は流したくない。
…弱くなってしまうから



だから泣かない

見守ってて、お姉ちゃん

頑張るから



教室の前で立ち止まり、一度大きく深呼吸する


『……よし』


ガラガラガラ…―




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