02
『……あの、すみません。この辺りで麦わら帽子かぶった男の子見ませんでしたか?』
ウォーターセブンの中心街へと足を運び、たまたま近くを歩いていた大工に声をかける
「麦わら帽子ィ?…あぁ、さっきカクさんが話してた奴が麦わらかぶってたなァ」
『本当ですか!?』
あまり目撃情報は期待してなかったが、やはりダメもとでやっておいてよかった
『それ、その人どこに行ったか分かりますか?』
「え、あぁ…ついさっき見たから…まだこの辺にいるんじゃないか?」
『ありがとうございました!』
ペコリと頭を下げた拍子に赤い髪がフードのスソからこぼれる
カクさんと言う人がどんな人かは分からないが、探しているのはカクさんではなく彼だ
親切な大工から離れ、グルリと周囲を見渡してみる
一番賑やかな区画と言われるのも頷けるぐらい、多くの人が歩いていて中々お目当ての人物を見つけ出すことができない
『………』
それでもその場から1歩も動くことなく集中して周りを見る
"片目"だとやはり視界が狭まってしまって不便極まりない
ダサいだの言ってないで街中でよく見かけるあの仮面をつければ良かったのだろうか…いや、アレをつけるぐらいなら片目でいい
ずっと目をこらして目印となる麦わら帽子を捜していると……ふと、風が大きく動いた
ビュゥン
風が動いた、というよりは人が驚くほど早く動いた際の衝撃だったようだ
街の大きな造船会社にはやはりそれなりの戦闘力を持つ人間がいるらしい……名前は確か…"ガレーラカンパニー"、だっただろうか?
「速ェっ!!」
誰かの大きな声が聞こえ、何気なくそちらを振り返る
『……え?』
そこにいたのは、見覚えのあるようなないような…特徴的な長い鼻の男、オレンジ色の髪が目立つスタイルのいい女性……それに、麦わら帽子をかぶった男の3人
そう、麦わら帽子だ。ウォーターセブンに来てずっと探していた麦わら帽子が、この視線の先にいたのだ
『見ィつけた……』
嬉しそうに呟くと、真っ直ぐ彼のもとへと駆けだした
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