01 再会の時は近く
『……ここよね』
多くの人間が賑わいを見せる街を見上げ、女が小さく呟く
その顔はフードで隠されていて、全く窺うことができない
だが僅かに見える長い紅髪や線の細い体から女であることは容易に分かる
『…元気かなぁ、あの子…』
もう一度フードを深くかぶりなおすと、街の中心地に向かってゆっくりと歩きはじめた
再会の時は近くここは"偉大なる航路(グランドライン)"上にある、水の都と呼ばれる"ウォーターセブン"
巨大な造船所ともいえるこの"ウォーターセブン"は余計なことさえしなければ海賊たちでさえ歓迎される島でもある
船が欲しくてこの島にやってきたわけではない女は足早に街を歩いて行く
「おう、姉ちゃん!1人で船旅か!?船に異常がないかキチンと調べてもらったほうがいいぞ!」
途中、見知らぬ男に話しかけられ一瞬動きを止めるも、何事もなかったかのように返事を返す
『…えぇ、ありがとう。でも船を求めてるわけじゃないから大丈夫よ』
「そうか!引き留めて悪かったな!!」
『いえ…』
陽気な…恐らく船大工であろう職人に小さく礼を返し、また歩いて行く
今探しているのは新しい船ではなく、"人"だ
この島にいる、というのはもう情報として入手しているから、必ず会えるはずなのだ
『…うーん……―かしら、やっぱり…』
小さく独り言を漏らした後、またゆっくりと歩きだす
――その再会まで、あと1時間と少し
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