15
『何で、か……』
問われた言葉を繰り返し、アリスは小さくため息をつく
『全く同じ船は、この広い世界探してもないのよ。造れないの』
「"その女の言う通りだ。クルッポー"」
ルッチがそれに同意する
「"似た船なら造ってやれるが、厳密に言って同じ船はもう誰にも造れねェ。この世に全く同じ船は二つと存在し得ねェのさ"」
全く同じ成長をする木は世の中どこを探してもない
ほぼ木材で造られている船を、例え同じ設計図を造っても二度と全く同じには造ることはできないのだ
例えそれを造ったとしても、きっとルフィたちが一番"違う"ということを強く感じてしまうだろう
「ンマー!…船の寿命だ。いい機会じゃねェか。諦めて新しい船を買っていけ。金はあるんだろう?聞けば船はキャラベルだそうだな。そもそもそんな古い型の船じゃあこの先の航海も厳しかろう」
だがアイスバーグの勧めにルフィは頷かない
「……いいや!!乗り換える気はねェ!!」
「ルフィ…」
『……』
「俺たちの船はゴーイングメリー号だ!!まだまだ修理すれば絶対走れる!!大丈夫だ!!今日だって快適に走ってたんだ!!なのに急にもう航海できねェなんて信じられるか!!お前らあの船がどんだけ頑丈か知らねェからそう言うんだ!!!」
「……沈むまで乗りゃあ満足か…」
呆れた、とばかりにため息をつくアイスバーグ
アリスも全く同じ気持ちだ
「呆れたもんだ…てめェそれでも一船の船長か」
『……ルフィ…』
話は一旦終わりだとアイスバーグが話を切り上げ、カリファが船のカタログを手渡す
ルフィは無言のまま、だけど差し出されたカタログを受け取る
船長一人で決められる問題でもないから、船に戻って船員と話しあう必要があるだろう
さすがにそんな状況で部外者がいるのもアレだと思い、落ち着くまで彼らの傍から離れたほうがいい気がする
自分の中で結論を出し、それをルフィたちに伝えようとした時
「アイスバーグさん!ゲート前にお客が来てますぜ」
また新たな人物が現れた
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