14 船長の重さ
人は誰もが決断しなければいけない時というものがやってくる
それが猶予を与えられた後か、突然突き付けられるかの違いはあるが、必ず決めなければならない
かつて、自分の命の代わりに私を救ってくれた母のように
何を失って何を手に入れるか、決断しなければならない瞬間が必ず――
船長の重さ「メリー号が直せねェって!!?何でだ!!」
ルフィが動揺を隠すかのように大きな声を出す
金はある、そう必死に否定の言葉を聞き出そうとするルフィに対して彼らは至って冷静そのものだ
「金は関係ないわい。いくら出そうともうあの船は下には戻らんのじゃ。よくもまァ…あの状態でここへ辿り着けたもんじゃと、むしろ感心する程のもんでな」
「どういう事!?メリー号に何が起こってるの!?」
ナミにパウリーが"竜骨"の重要性を説明する
「船の全骨格の土台"竜骨"は船の命。そいつが酷く損傷したからといって挿げ替えるなんて事ァできねェってわけさ。それじゃあ船を一から造るのと同じ事だからな。
――だからもう誰にも直せねェ。お前らの船はもう、死を待つだけのただの"組み木"だ」
その言い方はないんじゃないか、とは思ったが事実なのは変わらない
船は波を越えれば越えるだけ、その"痛み"を蓄積してしまう。船員は成長するが、船は少しずつ傷ついていく
思い入れの深い船なのは見ていれば十分理解できるが、ここで別れなくてはならないだろう
逆に良かったのではないだろうか?3億もの金がある時にその事実が分かって…
まぁ、こう思えるのは私がその船に乗っていなかったからなんだろうが
「………じゃあ!!だったらよ!!もう一回、一から船を造ってくれよ!!ゴーイングメリー号を造ってくれ!!」
だがルフィは納得できないとばかりに悪あがきをする
『…ルフィ、それは無理よ』
「っ何でだよ!!」
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