08
『…え?』
「あ。バレた、急げ!!」
アリスの視線に気づいたその強奪者たちはトランクケースを持って逃げ出す
それに気づいたウソップが叫ぶが当然男たちが立ち止まる気配はない
「フランキー一家!!」
アイスバーグが彼らを見てまたか、とでも言いたげな表情を浮かべた
「待てェ!待ってくれ――!!」
「うひゃ〜!2億もあるらしいぜ!!ありがとよ―兄ちゃん!!」
2億なんて大金、奪われたらたまったものではないだろう
これは助けたほうがいいような気がする……
ヤガラ、と呼ばれる水上の移動手段である動物に乗って逃げる"フランキー一家"を見つめ、どうしようかと考えていると…何やら騒がしい声が近付いてくるのに気づく
『あれは…?』
ちょうどフランキー一家が逃げている水上の上の橋の上をたくさんの人に追われながら1人の男が渡っていた
……と思ったら橋の上から男は飛び降り、ヤガラに乗っていた男たちをスソから出したロープで縛り上げ、ヤガラを乗っ取ってしまった
その動きは当然"普通"とは言い難く…きっとこのガレーラの職人なのだろう
「よかった…!アレあんたんとこの船大工なんだろ?」
「そうだ。うちの職長の1人、パウリーだ」
そのまま金を持ち去りそうになるが傍にいた別の男によって捕まえられてそれは未遂に終わる
「おいおい離せっ!何すんだてめェは!!逃げやしねェよ!jもうわかったってんだろ!!耳をはなせ!!」
パウリーの耳を遠慮なくつまんで連れてきたのは、同じく職長のロブ・ルッチ
肩に乗っているハト(ハットリという名前らしい)が印象に残る男だ
「せっかく大金が入ってたってのに…!てめェ覚えてろ、ルッチ!!」
借金取りに追われていたパウリーは名残惜しげにトランクケースを持っている
「"人の金で借金を返そうとするな、愚か者"」
「拾ったんだこの金は!!」
ハトの言葉にパウリーは文句を言う
――何はともあれ、金は奪われずに済んだようで小さく安堵のため息をこぼした
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