悲しき詩 | ナノ




15



「はぁ……」


思い出すだけでため息がこぼれる

少し前まで自分もあぁだったのかと思うと情けなくてたまらない

あの場に神田がいれば何か違ったのかもしれないが、ティエドール部隊の彼は自分たちクロス部隊とは別行動なのでいるはずもない

シルフの腕がもがれた場にいたのはアクマを追ってきて、たまたま遭遇しただけなのだ


「これ以上考えていても仕方がありません……彼らのことは一旦忘れることにします」


アレンは自身の左手のイノセンス…"神ノ道化"を見つめる


「どの道行先は同じです。ノアを追っていけば嫌でも顔を合わせることになります。今は…愛結を助けることを最優先に考えなければ」

「俺も……」


今はただの手袋となっているXグローブを、ツナはギュッと強く握る

これもアレンの左腕や愛結の目と同じイノセンスだなんて…


「そういえば、ツナもエクソシストでしたよね」

「アクマの存在を知ったのもつい最近だけどね…」


ボンゴレのボスが代々エクソシストだったと聞いた時は冗談だろうと本気で思ったぐらいだ


「そうなんですか…本来は元帥を師にして色々学ぶのですが、ここにいるわけもありませんし…」


それに、のんびり学んでいる時間もない


「…取りあえず、僕と組み手をして鈍った体を動かしましょうか」

「え!?いいんですか!?」


ツナにしたら土下座してでもお願いしたいことをあっさり提案されて驚きの声をあげる


「えぇ、僕も体が鈍ってますし、エクソシストとしての戦い方はやはり同じエクソシスト同士で学んだほうがいいと思いますしね」

「じゃあ…宜しくお願いします!」

「いえ、こちらこそお願いします」


どこで鍛錬しようか、なんて考えているとチャイムが鳴り、来客が来たことを知る


「…?誰だろう…」


母親は買い物に出かけて不在のため、ツナが応対するしかない

誰が来たのだろうかと玄関に向かおうと立ち上がるが……すぐに、来客の正体は分かった




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