14 謎が謎をよんで
「はぁぁぁぁぁぁ……」
「ア、アレン…」
「はああぁぁぁぁぁ………」
ツナの呼びかけにも答えるなく、アレンのため息はどんどん深くなっていく
「まさかあそこまで話が通じないとは思いませんでした……」
事は数時間前に遡る
「アレンくん……どうしてそんな酷いこと言うの…?」
リナリーは悲しみに満ちた表情で、震える声でアレンに問いかける
ようやく体の傷が癒え、"真実"を伝えるために仲間がいる場所へ向かったアレン
「なぁアレン、お前突然どうしたんだよ?」
「僕はおかしくなんかありません!」
だが……その"真実"が受け入れられることはなかった
「じゃあ何でユミがアイツを傷つけてるなんて言うんさ!?逆だろ、アイツがユミを傷つけてるんだろ?」
「それが違うって言っているんじゃないですか!」
誰も信じてくれないどころか、疑問にすら思ってくれないことに苛立つアレン
「アレンくん……何で、何で信じてくれないの……?私、何かしちゃった…?」
何故、今まで自分は気付かなかったのだろう――怯えたようにミランダの後ろに隠れるユミの目が、笑っていることを
「アレン・ウォーカー、どうしたんじゃ。お主らしくない…」
「そ、そうよ…ユミちゃんは優しい子じゃない…!」
「っおかしいのはそちらじゃないですか…!」
言えば言う程彼らが意地になると分かっているのに言葉を止めることができない
信じたかったのかもしれない、彼らは目を覚ましてくれるのだと
「もういいさアレン」
だが、もう言葉は届かないことを悟らざるを得なかった
「俺はアレンが何言おうとユミを信じるさ」
「アレンくんは高井愛結に嘘を吹き込まれてるのよ…!お願い、目を覚まして…!」
皆の目を見て、アレンは言葉を諦めた
「分かりました…。申し訳ないですが僕はここから別行動させてもらいます。愛結のことを助けるために、協力してくれる人たちがいますので」
それだけ言い、リナリーの引き留める声にも振り返ることなくその場を後にしたのだった
。
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