悲しき詩 | ナノ




13



『ねぇ紅蓮、さっきみんなのこと家族って……』

「ん?あぁ、言っただろ?俺らはお前に危害を加えるために連れてきたわけじゃねぇって。コイツらは全員"家族"だよ、お前を含めてな」


随分似てない家族だな、と思っているとそれを感じ取ったのかロードが説明する


「僕たちはねぇ、血の繋がりはないんだけどぉ…もぉっと深い部分で繋がってるんだよぉ?だから愛結も家族で間違いないんだよっ」


ぎゅっと愛結に抱き着くロード

しかしながら愛結にとって"家族"は今でも教団の皆のことだと思っている以上、ロードの言葉を受け入れることはできない

自分を産んだ両親はずっと昔にアクマに殺されている


『よく、分からないけど…私はロードたちの家族にはなれないわ。そう簡単に家族ってなれるものでもないでしょ?』


困ったような表情で優しく否定する愛結には見えない


「………"片っぽ"だけじゃ、ダメかぁ」


そう小さく呟いたロードの表情を


『ロード?』

「――オラ、お前らもう帰るぞ。用は済んだだろ」


唐突に別れの言葉を口にした紅蓮にジャスデビはあり得ないとばかりに抗議する


「ハァァァ!?来たばっかじゃん!!」

「デ、デロもっと喋りたいっ」


駄々をこねる双子に、愛結には聞こえぬよう耳元で囁く


「お前ら、仕事残ってるだろ?千年公に怒られるぞ」

「「あ」」



「――また遊びにくるねぇ、愛結。今度は愛結に似合いそうなドレス持ってくるよぉ」


愛結から離れたロードの表情は先ほどと変わらず無邪気なものだ


「紅蓮との"約束"だもんねぇ。"白い"僕らと、また遊んでねぇ?」


――愛結と会う時は必ず"白い"状態で会うこと。ノアだと気付かれてやり辛くなっても面倒だしな


『白…?』


その疑問に答えを返すことなく、ロードはニコリと笑って愛結を閉じ込めている部屋から出る

パタン、と閉められた部屋に1人残された何も知らない、可哀想な愛結


「僕たちは間違いなく"家族"なんだよぉ?愛結…だってキミは―――」


クスリ、と笑みを残して闇の中へと姿を消した




家族のカタチ
(定義は様々、形も色々)


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