悲しき詩 | ナノ




12



―――とても近くに感じた人の気配に、愛結はパチリと目を開けた


『………』


ふて寝していた愛結はパチパチと目を瞬かせ……ポツリと呟いた


『……近いんだけど』


その言葉に、視界の大半を占めていた3人の"白い"顔がパッと遠くなった

人間心の底から驚くと逆に冷静になれることを初めて知った愛結だった


「おっ起きたっ!」

「おーホンモノだホンモノ!」

「おはよぉ愛結」


キスするんじゃないかというぐらい顔を近づけていた3人は気にした様子もなく喋りかけてくる

明らかに初対面なはずなのに、向こうは旧知の友人のような態度に戸惑いを隠せない


『え、えっと……』

「おい調子乗るんじゃねーぞガキ共。さっさと愛結から離れろ」


困っていた愛結を助けたのは紅蓮で、ぺりっと3人を愛結から引き離す

そこでようやく紅蓮がいることに気付き、他にも見慣れぬ男と黒猫がいることにも気付いた


『紅蓮…?』

「よぉ愛結。驚かしちまったか?コイツらが前言ってた"家族"だ」


かぞく――


「「ハイハイハイ!まずは自己紹介!!」」


言葉の意味を問おうとするも、それは元気のいい声に遮られる


「オレ、デビット!」

「デロはジャスデロだよっ!ヒッ」


2人合わせてジャスデビ!と黒髪と金髪の少年はテンション高く自己紹介をする


「僕はロード。ロード・キャメロット〜。ロードって呼んでねぇ。紅蓮の横にいるのがティッキー…ティキ・ミック、そしてこの猫がルル=ベルだよぉ」


にゃぁ、と鳴いてすり寄ってくる猫相手に厳しい顔をし続けるのは難しい


『かわいい……』


ニコニコと猫…ルル=ベルを撫でていた愛結だったが、そもそもの重要な疑問を思い出してその手を止める




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