悲しき詩 | ナノ




11 家族のカタチ


―――方舟内


「ねぇぐれん〜いつになったら愛結に会わせてくれるのぉ?」


事の発端は、ロードのこの一言だった


「あァ!?愛結って…あの愛結か?」

「何で今愛結の名前が出てくるんだよ!ヒッ」


愛結という名前に素早く反応したのはお互いに銃を突きつけ合っている双子、ジャスデロとデビット、通称2人合わせてジャスデビ


「なんでって〜この間僕とティッキーと一緒に愛結ここに連れてきたのにぃ紅蓮がぜんっぜん会わせてくれないんだよねぇ」


独占欲ってこわぁい、と確信犯な笑みを浮かべるロード


「え――!?愛結ここにいるの!?いつ!いつ来たの!!つーかいるなら俺らにも教えろよ!!」

「そーだそーだ!!」


ギャーギャーギャーギャー騒ぐ双子に紅蓮は疲れたように大きなため息をこぼした後、ちょいちょいと双子を手招きする


「そうか、そんなに会いたいのか」

「「おう!」」


優しげに笑う紅蓮に、双子は期待に満ちた視線を向けるが……


「お前らなんかに見せるかバーカ」


笑顔で言われた言葉をすぐ理解することができず、双子はポカンとするが……言葉の意味を理解できた時、双子の怒りも爆発した


「なんでだよ!俺らにも会わせろよ!!ずりーぞ!ケチ!!」

「ケーチケーチ!!」

「だーうるせぇぞジャスデビ!お前らに見せるために連れてきたわけじゃねぇっつーの!つーか俺の愛結に手ェ出したら殺すからな!!」


ギャーギャーと低レベルな言い争いをしている3人をティキとロードは呆れを含んだ目で眺めている

ロードの膝の上で毛づくろいしていた黒猫がにゃぁ、と鳴いた


「隠すなんて無理にきまってるじゃん。僕たちが"愛結"を見つけれないとでも思ってたのぉ?」

「ほら、双子が暴れる前にちゃっちゃと教えちゃったほうがいいと思うぜ?」

「………チッ。なら一つ条件がある」


長い沈黙の後、不本意ですといった顔でしぶしぶ口にした"条件"に、クスリとロードは笑みを浮かべた


―――それは優しさなのか、残酷なのか


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