悲しき詩 | ナノ




09



「分からないことを考えていても意味はねー。おいアレン、そのノアらの拠点に目星はついてんのか?」


深く考え込んでいたアレンは、その言葉で我に返る


「す、すみません!えっと、目星…と言えるかは微妙ですけど……"江戸"にいる可能性が高いということしか分からなくて…」

「え、江戸!?」


思いもよらない地名に声が裏返るツナ

アレンたちはずっと"江戸"を目指して旅してきたらしいが……


「…おい、もうこの日本に"江戸"という地名は存在しねーぞ」

「えぇ!?」


今までの自分たちの苦労が無駄になるかもしれない危機に、アレンは思わずリボーンに詰め寄る


「な、なんでですか!?師匠が江戸に向かったっていう情報もあって、だから僕たち"江戸"を目指してこの地へ来たんですが…!」

「うーん…その師匠さんの間違いじゃないのかな……もう日本に江戸なんてありませんし……」

「そ、そんな……」


サラサラと灰になっていくアレンには同情するが、事実は変えられない


「……あっ、日本じゃないってことじゃ、」

「いや間違いなく日本だ。ただし数百年前のな」


悪あがきに近い僅かな希望を、リボーンは容赦なく切り捨てる

だが、その"江戸"に愛結がいる可能性があるのなら調べるしか道はない

本当に存在するのか分からない、僅かな希望―――だが、今はそんな僅かな光さえ欲しい現状


「念のため俺はボンゴレの情報班に掛け合っておく。お前らは寝て早くその怪我治しておくんだな」


――バタン、


言いたいことを言ってさっさと部屋から出て行ったリボーン


「……な、なんていうか…凄い赤ん坊ですね…」

「もう慣れましたけどね…ははは…」

「お気持ちは分かります…僕の師匠にとても良く似ています、彼…。慣れないと本当やってられませんよね…」


似たような師匠を持つ2人は顔を見合わせ、乾いた笑いをこぼすのだった




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