悲しき詩 | ナノ




06 僅かな休息期間


―――日本


「…――やっと起きたか」


目を開ければそこは見慣れた自分の部屋で、少しだけ安心する

声が聞こえた方向を向けば、いつも通り自分の机の上で優雅にエスプレッソを飲んでいるリボーンがいた


「夢……じゃないんだよな…」


あまりにも日常離れした出来事の連続で現実逃避したくなるが、筋肉痛で悲鳴をあげている身体が夢ではないことを証明している


「ふざけたこと言ってんじゃねーぞ」


バンッ


「っっっ!んな思いっきり叩くことないだろ!?」


強く叩かれ、涙目になりながらリボーンに抗議するツナの言葉を遮ったのは、ノックの音だった


コンコン


「あら?目が覚めたのねツっくん!」

「母さん!」


良かったわ〜、なんて笑う母はいつも通りで、とても大怪我を負って帰ってきた息子に対するものではない


「まったく、男の子だからってケンカのやり過ぎはよくないわよ?程々にしておきなさい」

「ハハ…ハハハ…」


とても"ケンガ"レベルの怪我ではないと思うのだが、恐らくリボーンが言ったのであろう嘘を簡単に信じる母に大きな不安を覚える

そんな息子の気持ちもいざ知らず、ほんわかと笑いながらサラリと重要事実を口にした


「あ、そうそう。あの子も目を覚ましたのよ。えっと……アレンくん、だったかしら?」

「え!?」


アレン、といえばリング戦で愛結と戦った、あの白髪のアレン、だろう

―――何で普通に家にいるの!!


「分かったぞママン。後はツナが面倒見るから大丈夫だぞ」

「あらそう?ならよろしくねツっくん。ツっくんも無理しちゃだめよ?」


おかゆでも作ろうかしら、と言いながら母親が部屋から出た瞬間、勢いよくリボーンを振り返る


「どういうことだよリボーン!何でアレンさんがここにいるんだよ!」

「いちいち騒ぐんじゃねー。アイツの左腕を普通の医者に見せる訳にもいかないだろ。その点ママンなら何とでもなる」

「た、たしかに母さんなら……」


かっこいい腕ねぇ、とか言って笑って終わりそうだ


「それに愛結を連れ去った連中のことも知っているかもしれねーんだ。そんな重要人物を放置しておくわけにはいかねー」


リボーンのその言葉に、ツナは小さく頷く事しかできなかった

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