03
『、一体何言ってるのよ、』
紅蓮の体をどけようとするも、逆に押さえつけられてしまいますます身動きがとれなくなる
『離してっ!』
「―――お前の"世界"は、俺だけいれば十分だろ」
だからまず邪魔なエクソシストたちから引き離した
ギリッと強く握られて爪が食い込み、痛みに顔をしかめていた愛結はその言葉に目を見開く
「あの女のお蔭で、簡単にお前からアイツらを引き離すことができた。少し煽っただけでアイツ、簡単に動いてくれたから簡単だったぜ」
淡々と語られる言葉を聞きたくなくて耳を塞ごうとするも相変わらず拘束されたままで身動きは取れない
あの女、とは間違いなくユミのことだろう
紅蓮の言い方はまるで、元凶が自分だと言っているようで――…
「日本に行かせたまでは計画通りで順調だったんだ。そこで俺と合流して、教団と関係ない場所で一緒に生きていくつもりだった……なのに予想外だよ、マフィアの連中と関わるなんてさ」
語られる言葉は鋭い棘となって愛結を傷つける
誰よりも信じていた紅蓮の予想もしていなかった事実に、言葉も出なかった
「これ以上一緒にいたら愛結の"世界"が俺じゃなくなっちまうから、返してもらったんだよ、あのボンゴレ共から」
だが、その不穏な空気を含ませた言葉に我に返る
『…ツナたちに、何したのよ…!』
「軽く遊んだだけだよ。あんな雑魚共、剣の錆落としにもならねーし」
なんてことないように軽く笑う紅蓮に、反射的に爪を武器化しようとしたが――
『っあ、い…っ』
突然、割れるかと思うぐらい酷い頭痛と耳鳴りに襲われ、うめき声をあげるだけとなった
「あのさぁ…俺がお前のイノセンスの能力を知った上で放置するとでも思ってるのか?」
激しい耳鳴りの隙間から、紅蓮の声が微かに聞こえてくる
「やめとけ、イノセンス発動しようと神経を集中させるとこの輪っかが頭を締め付けて集中を阻む。自分じゃ絶対に取れない代物だし大人しくしといたほうがお前の為でもあるぞ」
この激しい苦痛は頭に取り付けられた輪っかが締め付けたために起こった現象、らしい
震える手で頭に手をやると、先程まで全く気付かなかったが確かに何かが頭に巻き付いている
イノセンス発動を諦めるとあの激痛は嘘かのように消え失せた
「な?だから大人しくしとけって。今のお前は戦えない無力なわけだしさ」
優しい声色で、紅蓮は残酷な言葉を囁いた
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