教員独白



五・六年生の実習中に、空から人が降ってきた。









六年ろ組の七松が受け止めたその少女は、見たこともない着物を着ていて、自らを"天女"だと名乗った。
天女なんて、子供の頃に聞いたお伽噺の中の存在だ。
だが本人がそう主張するし、学園長も天女を雇うしでどうすれば良いのかわからず、
私は隣人……暁成秋椰の元へと向かった。

どうやら外出していたらしき秋椰は、学園町の庵から出てくると、すぐに私の名を読んだ。









――――気配を消していたのに、こうもあっさりとバレてしまうのか。









自分の実力を過大評価するつもりはないが、あくまでも忍術学園の教師。
その気配を見抜くとは、彼女にはかつて天才忍者と呼ばれた学園長をも凌駕する、
天性の才能があるのだろう。

私が目的通り彼女に意見を求めると、予想通りの返事が返ってきた。
しかしまあ予想通りと言ったら問題があるが、彼女の答えは曖昧なものだった。
やはり、"天女"については関心が薄いようだ。
相変わらず、自分の興味のないことには至って冷静で淡泊のようだ。




しかし、こちらも相変わらず、未だに自分のことを卑下しているようで。




自らを「学園長の犬」と名乗り、自分自身を軽蔑しているのは、何故か心が痛んだ。






…………話を戻そう。

個人的な意見としては、"天女"を学園で雇うのは反対だが、もうそれは決まってしまったこと。
私は一教員として傍観するしか出来ない。
秋椰も「傍観する」とは言っていたが、何か考えがあるようだ。
その証拠に、彼女は話が終わるとすぐにいつものように自室へと籠ってしまった。









(……後でおにぎりでも持っていってやるか)












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