■ 酒は呑んでも飲まれるな
「んふふ......おいしい」
「ナマエちゃん、やっぱり酔ってるでしょ」
そう言ってわたしの視界に映り込むのは我らが海軍大将青キジさん。
偶然飲み屋で一緒になってイケる口?なんて聞かれたらそれはもうお酒の力を借りてでもお近付きになりたいのが乙女心、というか恋心。
「酔ってないですよぅ」
「それは酔ってる人が言うセリフでしょ」
あ、困った顔してる。困った顔も素敵だなぁ。
酔ってないことはないけど、まだ思考はハッキリしてるわたしはニコニコしながら青キジさんを見つめる。
「ん?」
「すきです」
「あらら......だいぶ酔ってんね」
「うそじゃないですよ、」
口をとがらせて反論するのは流石に子供っぽすぎたかな、くらりとしたふりをして彼を伺うと一瞬の間があって、それからわたしの頭に青キジさんの手のひらが乗せられて。
「かわいーこと言っちゃって。おれ勘違いしちゃうよ」
「ほんとですもん」
「ほんと、ねえ」
「ね、青キジさん。ちゅーしてください」
袖を引っ張って目を瞑ると、
「あーもう......」
なにかを諦めたような声がして、唇に柔らかいものが当てられる。そのまま深く深く口付けられてここがどこなのかも忘れてしまうくらい夢中になる。
次に目を開けた時囁かれた「続きは別の場所でね」という魅惑の言葉に流されたっていいでしょう?
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