今日の訓練を振り返ろうという事で、A組には大半の生徒が残っていた。

「凛ちゃん!凛ちゃん!凛ちゃんの個性って何なの!?」

「私も気になっていましたわ」

近寄ってきた葉隠と前の席から八百万が興味津々という目を向けてきた。
轟も席を立たず、こちらに視線を向けていた。
やはりあまり見たことのないタイプの個性のためか他の者も寄ってきて、凛の方に注目が集まっていた。

「私の個性は【騎士(ザ・ナイト)】と言って、いろいろ能力のある鎧や武器を換装させていくんだ」

「強ぇ!最強かよ!」

上鳴がまじかよ!という目で見てきた。

「いや、爆豪や轟みたいに派手に何かを放つようなものはほぼない。特性以外は、自分の剣の腕のみだ。他にもいろいろ弱点もあるし、上手く使わなければならない個性だよ」

なるほどな〜と凛の発言にようやく個性がわかり、皆すっきりしたような顔をしたいた。

オールマイトの初授業ということもあり、今日の夕飯はいつもより手の込んだものを作ろうと、凛は皆に緑谷によろしく伝えといてくれと言い先に帰宅することにした。

すると、轟とたまたまタイミングが被り、方向も一緒なため、わざわざ別々で帰る必要もないだろうと凛と轟は現在並んで帰宅していた。

「轟。君の個性はすごいな。相反する個性で汎用性も高そうだ。遠距離から近距離まで対応可能だし、それを生かす身のこなしもさすがだった」

「それを言ったら、八木の個性も汎用性が高いよな。あんな風に氷を止められたのは初めてだ。相当剣の訓練してんだろ」

剣のことが分かるものが周りに少ない分、派手な個性ばかり注目されることが多いため、轟の言葉に自分の努力を認められた事が嬉しくなり、頬を緩めた。

「まぁな。私の個性に直接繋がる所ではあるからな」

その後電車に乗り、口数は少なくとも話をした。どうやら同じ駅だったようで、一緒に降りて、話を聞くともう少しで分かれ道らしかった。

「でも本当に今日は目を奪われた。君の個性に。傷つけず氷で捕縛でき、炎で傷つけず溶かすことができる。右も左も、綺麗で優しい個性だな」

凛は、今日の戦闘訓練で感じたことを素直に轟に話した。

しかし、その言葉を聞いた途端凛が気にしていたあの目の奥にある暗い炎が強まったのだった。

「綺麗でも優しくともねぇよ。こっち側はな…」

そう言って、左手を忌々しく轟は見つめた。
凛は時が止まったように感じた。
彼の目の奥の炎も、彼の怒りに満ちた表情が目に焼き付いた。しかし、それだけではない。苦しく、傷ついているようにも感じたのだ。

長かったように感じたが、現実では本当に一瞬の時間だった。
轟は「じゃあな」と一言凛に声をかけると、背中を向け凛とは別方向に歩き出した。

凛は、「ああ。また…」と、その一言しか言えなかった。

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