「さあ!始めようか。有精卵共!!」

敵退治は主に屋外で見られるが、統計的に言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いのだ。

「君らちはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

オールマイトの言葉に詳しい事を知りたくなった者たちは質問を一斉に投げかけた。

「勝敗のシステムはどうなります?」
「ぶっ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍処分とかあるんですか…?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」
「このマントやばくない?」
「いや、その発言がやばいぞ」

「んんん〜聖徳太子ィィ!!」

状況設定は、敵がアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。
ヒーローは制限時間15分以内に敵を捕まえるか、核兵器を回収すること。
敵は制限時間まで、核兵器を守るか、ヒーローを確保テープで捕まえること。

カンペを見ながら、オールマイトは説明した。
そう言えば昨日何か書いてたけど、カンペだったのかと凛は苦笑した。

チーム分けはクジだという。

「先生!でもそれだと1人余ってしまうのでは?!」

そう。飯田の言う通り、1年A組は21人。
2人1組だと1人余ってしまうのだ。

「1チームだけ3人になるようになってるのさ!敵の方が多いなんて状況ヒーローはざらだからね。そのチームは敵チームになることは決定事項だ!」

チーム分けの結果、凛は葉隠と尾白と同じチームになった。

「よろしく」
「うん!頑張ろー!」

さっそく、緑谷・麗日のヒーローチームと爆豪・飯田の敵チームの戦闘訓練が始まった。
結果から言うと、緑谷たちのヒーローチームが勝利した。
普段の関係から思っていたが、緑谷と爆豪は幼馴染な上、並々ならぬ因縁があるみたいで、正面衝突のなかなか激しい戦闘だった。

第2戦は、轟・障子のヒーローチームと凛・葉隠・尾白の敵チームだ。

「凛ちゃん、尾白くん。私ちょっと本気出すわ。手袋もブーツも脱ぐわ」

そう言って、手袋とブーツを脱ぐ葉隠に凛は、え、じゃあつまり今は全裸…?女子的にそれは…と目を見張った。

「うん…」

隣の尾白も同じ気持ちなのだろう、ツッコムのをやめたようだ。

「透。風邪ひかないようにな」

「凛ちゃんありがと!紳士だね〜」

凛も、それだけ言ってもう何も言わなかった。

「作戦はどうする!?相手の個性も詳しくは分からないよねー?」

「個性把握テストで、轟は氷雪系の個性で、障子は口など生やしていたな…耳も生やせそうだから索敵能力がありそうだ。一緒だと厄介だな。尾白と透は先行してくれ。2人を分断できれば、あとは私が広間で核を守る」

透の言葉に、凛は自分が思い出せる範囲で分析し、軽い作戦を立てた。
短時間で分析した凛の頭の回転の良さに、2人は反対など浮かばず、了承し、広間を出て行った。

轟が来る可能性の方が高そうだと判断した凛は、時間も許容範囲内という事もあり個性を発動した。

「換装!氷帝の鎧」

すると、次の瞬間、目の前に氷が広がった。
建物ごと凍らされてしまったのだ。

『凛ちゃん!足が凍らされちゃった!』
『ごめん!八木さん!身動きが取れない』

2人から入ってくる無線にまさか最初からここまで広範囲に来ると凛も思わず、彼の個性を見誤っていたと周囲を警戒した。

「私は無事だ。2人には悪いが、もう少し頑張れるか?無理なら言ってほしい。凍傷のリスクもある。」

『私なら大丈夫だよ!』
『俺もだ』

2人のこのまま終わるのは悔しいという思いが伝わってきて、凛は目の前に現れた者を真剣な目で捉えた。

「わかった。すぐに終わらせるから待ってろ」

凛の目の前にいたのは轟だった。
轟は若干目を見開いてい。

「八木か。まさか無事とはな。お前の個性か」

「ああ。対氷雪系の鎧だからな。透たちが心配だ。すぐに決着をつける!」

凛はそう言い、剣を持って轟に向かっていった。
轟もそれに素早く応戦し、氷を出した。
2人の一歩も引かないやりとりはしばらく続いたが、やがて凛は立ち止まり、換装を解いた。
轟はそれに対して、怪訝そうな顔で見つめてきた。

「降参する。このままだと透たちの足が心配だからな」

『ヒーローチームWIIIN!!!』

そう告げられた瞬間、温かな炎が周りを包んで溶かしていった。
炎と氷の美しさが凛の目の前に広がっていた。

[ 11/79 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -