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「野郎やりやがるな…これを選ぶたァ。馬が上下に動くから狙いがなかなか定まらねぇ。おい、それよりコレいつになったら奴等に追いつけるんだ?一向に距離が縮まらねーぞ。」
「縮まりませんよ。これメリーゴーランドですよ。」
「この土台ごと回ってるんだよ!一緒に回ってんだよ!一生回り続けろバーカ!」
松平の言葉に凛と土方は呆れてツッコんだ。
「メリーとパント?なんだそれ?それよりスリットから覗く凛ちゃんの太ももエロいね〜今度おじさんと大人の遊園地行かない?」
確かに土方と違って、松平たち同様馬に乗る凛のスリットはいつもより広く開いていた。
「おじ様、セクハラで訴えますよ」
凛は冷めた眼で松平を見た。
「とっつぁん。篠崎に近づくな。…早まったことすんじゃねーぞ。要はあの2人の仲引き裂けば良いんだろ?他に方法はいくらでもあるだろ」
土方は凛と同意見で、外見で人間性を決めつけるつもりはなかった。
「良くも悪くも愛だの恋だのは幻想ってことさ。あんたの娘もあの男によからぬ幻想を抱いてるようだが、そいつが壊れりゃ夢から覚めるだろ」
―――
栗子はジェットコースターに乗りたがり、彼氏の七兵衛はそれに渋っていた。そして、沖田が彼に近づき無理やりジェットコースターに乗せた。一方、凛たちは離れた席に乗り、それを見守っていた。
「おい、ホントに大丈夫なのか?こんなんで」
「大丈夫だよ。総悟は人をいじめるのが趣味の超ドS野郎だぞ」
「安心して、サディスティック星の王子に任せましょう」
不安がる松平に土方と凛は声をかけ、隣同士に座った。
「ウンコしろ。ジェットコースターが帰ってくるまでにしてなかったから殺すから」
沖田は七兵衛の喉元に懐刀を当てながら、なかなか無理難題な内容で七兵衛を脅した。
驚く七兵衛をよそにジェットコースターは発車された。
凛たちは前の様子を伺うと、なぜか沖田が飛んできて、土方の顔面に思いっきりぶつかったのだった。
「てめぇぇぇ!何してんだぁぁぁ!」
「総悟くん?!」
土方と凛は驚愕した。
「ベルト締めんの忘れた!ベルト締めんの忘れた!はわわわわ!」
沖田の様子は普段から考えられないほど、テンパっていて、さっきまでと全く別人のようだった。
「Sだからこそ打たれ弱いの!ガラスの剣なの!たたたた助けてぇぇ!土方コノヤロー!!」
「ぐおっ!!」
沖田は吹き飛ばされないように、土方の後頭部を思いっきり鷲掴みにした。
そうして、ジェットコースターは止まることなく最後まで走り続けた。
―――
ジェットコースターが走り終わった後、七兵衛は少し座高が高くなっていた。沖田によって脅された彼は、約束通り脱糞をしていたのだった。
七兵衛の衝撃の告白に、普通 女なら引くだろうと土方は確信していたが栗子の反応は予想の斜め上をいった。
「よかった〜実は私もでございまする。私だけだったらどうしようかと思っていたでございまする。」
なんと、栗子は頬を赤らめながらそう告白したのだった。
これには、凛たちも驚愕を隠しきれなかった。
ますます仲良くなった2人は次のアトラクションに向かおうとしていた。凛たちは早く追いかけねばと、まだ来ない近藤の方を向いた。
あれ、、、?座高が高く…
土方が見覚えのある光景に疑問に思った。
「…トシ。誰にも言うなでございまする」
近藤も脱糞していたのだった。
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