「てめーらを呼んだのは他でもねぇ」

その日、凛たちは松平に話があると呼ばれいた。

「…とっつぁん。そりゃ確かかィ?」

「間違いねぇ。奴の周りには常に俺の密偵がはっている。奴もそれに勘付いてナリひそめてやがったが、我慢比べは俺たち年寄りに分があるってもんよ。我慢できずに動き始めやがった。俺ァもう後手に回るつもりはねーよ。幕府の連中がガタガタ言うなら腹切る覚悟だ…決戦だよ。奴も奴の企ても全て潰す」


「…そうか。とっつぁんがそのつもりなら、俺たちの命もあんたに預ける」

「フン…頼りにしてるぜ」

凛は結局最後まで近藤と松平の会話の内容がわからなかったが、誰も何もツッコまないので、話の腰を折るわけにもいかず、後で近藤に聞くことにし、松平を見送った。

「トシ…総悟…凛ちゃん…1つ確認しておきたい事がある。…奴って誰かな?」

「しらねーのかよ!!!」


―――


育ちの良さがわかる美少女とギラギラとした服で纏めたいかにもチャラ男が大江戸遊園地で待ち合わせをしていた。

そんな2人を影から見張る男の名は、松平片栗粉だった。ライフルを構えながら。

「お前、何ぃぃぃぃ!?奴ってあれかァ?!娘の彼氏ィ?!」

「彼氏じゃねぇぇ!認めねーよ!あんなチャラ男。パパは絶対認めねーよ!」

「やかましーわ!俺はお前を警察庁長官なんて絶対認めねーよ!」

土方は休み返上してまで呼ばれた理由が、娘のデートを尾行するためと知り、青筋を浮かべた。

「土方さん。俺もあんたが新撰組副長なんて絶対認めねーよ!」

「おめーは黙ってろ!」

沖田は別の面で茶々を入れて、土方に一喝された。

松平は娘の彼氏があんなチャラ男は認められず、抹殺しようというマフィア的な結論に至ったらしい。おじ様の場合、他の男でも同じ結果でしょうと思いながら凛は呆れていた。

土方は近藤に松平を説得するように言うが。

「誰が近藤だ。殺し屋ゴルゴ13と呼べ」

13という数字は今年女性に振られた回数らしい。近藤はすっかりやる気を出し、ライフル片手に松平に協力すべく追いかけていった。

本気でやりかねないと懸念した土方は沖田に話しかけるが。

「俺は殺し屋ソウゴ13。」

おもしろそうという理由だけで、沖田はついていってしまった。

問題児ばかりが増えていく状況で頭を抱えた土方は、頼みの綱の凛の方を見た。

「篠崎、お前は…」

「安心してください。土方さん。栗子ちゃんは実の妹のように思っているので、彼女を幸せにしてくれる人かきちんと見定めていただきます。確かに見た目はチャラ男さんですけど、心は素敵な方なのかもしれませんしね。」

唯一まともな凛に土方は安堵した。


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