凛たちは、怪我をした近藤を囲みながら山崎から追跡の報告を受けていた。

敵は『廻天党』と呼ばれる過激派攘夷浪士だそうだが、隊士たちはそれよりも思うところがあった。

彼らは禽夜が近藤に言った言葉が許せなかったのだ。その上、山崎からの報告によると春雨と繋がっている証拠が発見されたのだ。正直、守りたくないと隊士たちの間で意見が一致していた。

それに対し土方は隊士たちに背を向けた。

「フン 何を今さら。今の幕府は人間のために機能してねェ。んなこたァとっくに分かってたことじゃねーか。てめーらの剣は何のためにある?幕府護るためか?将軍護るためか?俺は違う。覚えてるか。あの頃、学もねぇ、居場所もねぇ。剣しか能のないゴロツキの俺たちを、きったねー芋道場に迎え入れてくれたのは誰か。廃刀令で剣を失い、道場さえも失いながら、それでも俺たちを見捨てなかったのは誰か。失くしてた剣をもう一度取り戻してくれたのは誰か。…幕府でも将軍でもねぇ。俺の大将はあの頃から近藤(こいつ)だけだよ。大将が護るって言ったんなら仕方ねぇ。俺ぁそいつがどんな奴だろうと護るだけだよ。気に食わねーってんなら帰れ。俺ァ止めねーよ」

そう言い、土方は部屋を出た。
やっぱり優しい人と、凛は土方の言葉に小さく笑みをこぼしながら思った。そして土方の後をすぐに追った。

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