「篠崎。総悟しらねーか。」

土方はサボり癖のある沖田を危惧し、凛に所在を尋ねた。

「総悟くん?さぁ?見てませんが…あ。」

凛も沖田の居場所を知らなかったので、答えつつ辺りを見渡すと見覚えのある栗色の髪の毛が見えた。

2人が近づくと、沖田は土方の危惧していた通りサボって寝ていた。ご丁寧に、ふざけた柄のアイマスク付きだ。

「こんの野郎は…寝てる時まで人をおちょくった顔をしやがって。おい起きろコラ。警備中に惰眠をむさぼるたァどーゆー了見だ。」

沖田の姿に苛ついた土方は刀を向けた。
沖田の横では凛が彼の体を軽く揺さぶっていた。

「総悟くん。起きて」

「なんだよ。凛さん。今日は日曜だぜィ。ったくおっちょこちょいなんだから〜」

やっと起きたかと思えば、ふざける総悟に凛は苦笑しながら彼の頭を撫でた。

「今日は火曜よ」

土方は反省の様子を見せない沖田の胸ぐらを掴んだ。

「てめーこうしてる間にテロリストが乗り込んできたらどーすんだ?仕事なめんなよコラ」

「俺がいつ仕事をなめたってんです?俺がなめてんは土方さんだけでさァ」

「よーし!!勝負だ剣を抜けェェェェ!!」

「あの、そろそろ…」

ヒートアップする様子の2人に凛は止めようと声をかけるが、それよりも先に近藤が2人の頭を殴って止めた。

ガンッ!!!

「仕事中に何遊んでんだァァァァ!!お前らは何か?!修学旅行気分か?!枕投げ気分かコノヤロー!!」

「あの、近藤さん。そろそろ…」

近藤の声の大きさに危惧した凛は、今度こそ止めようとするが、それより先に護衛対象の禽夜が感動の頭を殴って止めた。

ガンッ!!!

「お前が一番うるさいわァァア!まったく役立たずの猿めが!」

そう失礼なことを言い、去っていった。

「なんでィ ありゃ。こっちは命がけで身辺警護してやってるってのに。」

その態度に沖田は守る意味がわからないと、不満を漏らした。確かに凛もあの態度が癇に障り、本心では沖田と同意見だった。

「総悟。俺たちは幕府に拾われた身だぞ。幕府がなければ今の俺たちはない。恩に報い、忠義を尽くすは武士の本懐。真選組の剣は幕府を守るためにある」

近藤はそんな沖田に諭すように語った。
それでも沖田は納得しなかった。

「だって海賊とつるんでたのかもしれん奴ですぜ。どうものれねーや。ねェ土方さん。」

「俺はいつもノリノリだよ。」

「でもまぁ隊士たちの士気の低下には繋がってますよね。山崎さんはバドミントン始めちゃってますもの。」

凛がそう困ったように言うと、土方は怒り狂って山崎の方を追いかけた。

「山崎ィィィィ!!」

「ギャァァア!!」

山崎の叫び声をBGMに近藤は笑顔を浮かべた。

「総悟よォ。あんまりゴチャゴチャ考えるのは辞めとけ。目の前で命狙われてる奴がいたら、いい奴だろーが、悪い奴だろーが手ェ差し伸べる。それが人間のあり方ってもんだよ。」

すると、近藤の目に禽夜が1人で出歩いてるのが目に入りすぐに飛んで行った。

「あっ!!ちょっと!勝手に出歩かんでください!!」

その様子に沖田は呆れたようにため息を吐いた。

「はぁ〜底なしのお人好しだ。あの人ァ」

「確かに偶に心配になるわ。まぁでも…」

凛もそれに同意したが、最後に笑みを浮かべて言葉を続けようとしたが、1つの音によって発せられることはなかった。

ドォォォォオン!!!

全員が一斉に銃声のした方を見ると、近藤が禽夜を庇って打たれている場面だった。

「「局長ォォォォ!!」」

土方は急いで山崎に追跡するように声をかける一方で、凛は持ち前の医術で急いで応急処置を始めた。

よかった。弾は貫通してるみたい。一先ず命には関わらない怪我とわかり、凛が安心して、処置を進めていると近くにいた禽夜が近藤を見下ろした。

「フン。猿でも盾代わりにはなったようだな」

この言葉を聞いた沖田は怒りに身を任せて、刀に手をかけたが、土方の手が沖田の腕を抑えこんだ。

「止めとけ。瞳孔開いてんぞ」

「禽夜様。このようにまた命をいつ狙われてもおかしくない身。またこのように1人で出歩かないでくださいね?我々も尽力は尽くしますが、禽夜様が協力してくれないことには穴が生まれてしまいます。そうしますと命を落としますよ?」

近藤の処置を終えた凛は禽夜に凍りつくような笑みを浮かべた。
それに禽夜は言い返そうとしたが、彼女の圧に捕食されるように感じ、逃げるように部屋に篭った。

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