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ポップコーンが地面へと落ちた。だけど誰も気にしない、今は試合に釘付けだった。フォクシー海賊団の船で行われている一対一の決闘。途中、船内に消えたかと思ったら、ルフィが真っ黒コゲで姿を現した。

「うわー!!」
「ルフィー!!」
「ルフィっ…」
「ばかな……」
「どうしてただのパンチでコゲるのよ!何してたの!?」

船内で何が起きたのかはわからないけど、ルフィが追い込まれたのはわかった。傷を受けているフォクシーだけが立っていて、ルフィは倒れている。

「!、見て。」

ロビンの声を聞いて、ルフィに地面を向いていた視線を戻す。ルフィはフラフラとしながら立ち上がった。立っただけで、安心してしまった私は大きく息を吐く。

ルフィはノロノロビームを受けて何度殴られようとも立ち上がる。痛々しい傷が増えていく、目をそらしたいけどそらしたくない。最後まで泣かないし、見守ると決めた。

「…おれの仲間は…誰一人…死んでもやらん!!!」

そう言ってまた立ち上がったルフィに大歓声が上がる。ああ、どうしてこんなにもかっこいいんだ。また惚れ直してしまうじゃないか。だから、男って厄介な生き物なんだよ。

「ルフィー!!!!」

観客席から沢山のルフィコールが。ルフィの勇姿に涙が零れそうなったけど、なんとか堪える。
ノロノロビームを打ったオヤビンが動かなくなった。カラァンとルフィの手から鏡の破片が落ちる音が聞こえる。ノロノロビームが反射してオヤビン自身に当たってしまったんだ。ノロノロの間にルフィは技を繰り出す。

「あと、9秒だね!」
「8秒。」
「え?…え?」

私の後に、ゾロがカウントする。ウソップは訳がわからず首を傾げている。勝利へのカウントダウンは0へと近づいていく。

「7…」
「なに?」
「……6…」
「うははは!5ォ!」
「4!」

麦わらの一味の頬は緩みまくる。この状況を理解していない観客たちも一緒にカウントする。オヤビンの敗けが近づいているのに、楽しそうにカウントするフォクシー海賊団の人たちを見て笑がもれる。

「3!2!1!0ォー!!!!」

0になった瞬間に、30秒間分のダメージを受けるフォクシーは吹っ飛んで海へと落ちた。私とウソップは飛び跳ねて喜ぶ。これで、私たちの勝利だ。







「まったく、無茶しやがって。こいつぅ!こいつぅ!!」
「つっつきすぎだ!重傷なんだぞ!?コンニャロー!」

チョッパーが治療したボロボロのルフィをつっつくウソップを慌てて止める。私は眠ったルフィの手をぎゅっと握っていた。そんな時、ルフィの目がゆっくりと開かれる。上半身を起こし、慌てた様子だ。

「あ…あれ?ゲーム、ゲームは!?おれ、勝ったと思ったのに、夢か!?」
「大丈夫だ、勝ったよ」

それを聞いて安心したのか、ドサッと地面に倒れ込んだ。

「よかった………」

そう満面の笑みを浮かべるルフィに抱きついた。ホンットによかった、仲間も失わないしルフィも無事だし。

「アミ、痛ェよ。」
「ルフィー!心配したんだからね!」
「アミのキスのお陰かな。」
「もうっ、バカ。大好き!」

より強くルフィを抱きしめる。何ならキスしたいくらいだけど、ナミ達が見ているからやめた。またバカップルかと怒られたけど。

「安心して観てたぞ、おれは。」
「ウソつけ。」
「考えたら、この船出て海賊やる理由はねェんだ、おれは。」
「フフ……」

みんなも安心したのか、笑った。これでまたみんなで航海が続けられる。その事が嬉しくて私は緩んだ頬を抑えられなかった。

勝ったからには、フォクシー海賊団からクルーか海賊旗を貰わなければならない。船大工がほしいところだけど、きっとルフィは気に入った人しか仲間にしないからクルーを選ばないだろう。

「海賊旗をくれ!」
「……やっぱり。」
「欲しいもの貰ったら何の為に決闘受けたんだかわからなくなるもんな。」

何の為に決闘を受けたのかわからないけど、きっと誰かの為に決闘を受けたんだろう。ルフィは優しい人だから。

「…そんなバカな!迷わずおれ達の誇りを奪おうというのか!?」
「いいよ、帆は。それがねェとお前ら航海できねェだろ。」
「情けは無用だ!奪うもんは奪って貰うぞ!」
「……わかった。じゃあマークだけ貰えばいいんだから、おれが上から新しいマークに描きかえてやるよ。そしたら帆まで取らなくてもいいだろ。」

あれ、確かルフィって絵心……。私の思った通り、ルフィに絵心がなく、変なマークの海賊旗が完成した。これは可哀想だ。そして変な海賊旗を掲げた彼らは覚えてろー!と叫びながらこの広い海に旅立っていった。もう、悪さはしませんように。


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