061
「ほら、これ軍艦じゃねェか!」 「っ!!、」
大好きで、今すぐ会いたいと思っていた人の声が聞こえた。
「じゃあ海軍がきてんのか?」 「あそこ、誰かいるぞ!」 「麦わら屋…」
空にいた私は、ゆっくりと地面へと近づいていった。 なにかに乗ってやってくるルフィと、ロビンさんとゾロさんとブルックさんとウソップさん。
「あれー!?お前はー!!」
ずっと会いたかった。 私の大好きな人の麦わら帽子が揺れている。 上から抱き着いてやろうか、そんなことを考える。
「おーい!お前じゃんかー!おれだよおれ!あんときはありがとなー!」
ルフィは、暖かそうなコートを着て、笑顔でローさんをみている。
「あいつはシャボンディのヒューマンショップで会ったやつだな」 「トラファルガー・ローよ…彼は今…」 「そうそう!トラフォル…トラ男!そうだったあいつよー、白ひげの戦争からおれを逃がして…傷も治してくれたんだ!そうさ、ジンベエと同じようにあいつも命の恩人なんだ!」
ローさんこと、トラ男さんはなにも話さない。 私は、雪が少し積もってるところで隠れてみていることにした。
「こんなとこで会えると思わなかった、よかった!あん時本当にありがとう!」
ルフィの無邪気な笑顔を見ると、私の鼓動は速くなった。
「あれ?喋るくまは?」
喋るくま…?なんだろう。 今すぐ出て行って抱き着きたい衝動を必死にこらえる。
「よく生きてたもんだな、麦わら屋。だがあの時のことを恩に感じる必要はねェ。あれはおれの気まぐれだ。おれもお前も海賊だ、忘れるな」 「……にしし!そうだな、ワンピース目指せば敵だけど…二年前のことは色んなやつに恩がある。ジンベエの次にお前に会えるなんてラッキーだ!本当にありがとな!」
頂上戦争、あの出来事はあまりにも残酷で、思い出すだけで体が震えた。
「おい、お前なにしてんだ」 「……、ロロノア・ゾロー!!!」 「急に大きい声出すなよ、」
目の前にはなにしてんだこいつでも言うような目をむける、ゾロさんがいた。
「あ、クミー!」 「わっ!ルフィ!!」
気づけば、ルフィに思いっきり抱きしめられていた。
「いたなら言えよ、すっげェ会いたかった」 「…うん、私も」
私もそっと、ルフィを抱きしめ返す。
「なんでこんなとこいんだ?……ん?」
私とルフィの隣には、倒れたスモーカーさん。
「も、もしかして…海軍やめる気になったのか?」 「ち、違う!これは私がやったんじゃなくて…、ローさんが…!!」
ローさんの方を見ると、ただ真顔で無視される。
「なーんだ。クミならいつでも歓迎するからな」 「………ん、ありがと」
違う道を歩んだ私達。 いつかルフィは海賊王になるときがくる。 その時私は、どこにいるんだろう。
「クミ、好きだ」
胸がぎゅーっと締めつれられる。 私もルフィが大好きで、離れるのが怖い。
「私はね……、愛してるよ」
私がそう言うと、ルフィは優しく微笑んで、より強く抱きしめてくれた。
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