059
「きゃああああ!!怖かったよー!凍った人たち!」 「でもみてほら!扉よ!ここから出られる!!」
扉の奥から声がした。 ローさんの頭の上には“?”が見えた気がした。
「やっぱり中に誰かいるじゃねェか!見ろ!なんだあの生き物!」 「外だー!」 「外…、いやー!寒いー!!!」
扉から出てきたのは、麦わらの一味のナミさんとチョッパーさん。
「やったぞー!建物を出たぞ!お家に帰れる!パパとママに会える!」
巨大な子供たちも出てきて、私達は驚きのあまり声が出ない。
「ヘイヘイヘイ!フランキー!ヘイヘイヘイ!タンクだぜ!そこのけそこのけスーパーそこのけ邪魔するやつは踏んでくぜ!だけど花は避けてくぜー!ちょっと優しいフランキータンクー!スーパー!!!」
テンションの高い、フランキーさん。
「あー!あんた見覚えある!」 「そうだ!シャボンディにいたやつだぞ!」
ナミさんとチョッパーさんはローさんをみて声をあげた。 ローさんはなにも言わず、ただことが過ぎるのを見ているだけ。
「まさか子供たち閉じ込めてたのあんた!?この外道!この子達返さないわよ!」 「どこの極悪人かと思えばてめェは!!スモーカー!そしていつものカワイコさんと……クミちゃーん!!!!」
サンジさんは私の手を握り、目がハートになっている。
「なぜここに子供達が……」 「それより、サンジさん…離して下さい」 「おっと、ごめんよクミちゃん」
サンジさんは私の手を離し、辺りを見回した。
「まずいぞ、まさかの海軍だ!ここは無理だ、出口を変えよう!」 「わあああ!!あれ…?海軍っていい人達じゃないの?」
サンジの言葉に、子供達は首を捻った。 ことをじっと見ていたスモーカーさんはローさんをみつめた。
「…!!いるじゃねェか、なにがひとりだ」 「……いたな。今驚いてるところだ」
逃げ出そうとする麦わらの一味を捕えるため、海兵達が動き出す。 私は必要なさそうだし、少し離れてビスケットでも食べることにした。
「あ!くそ!圧倒された!…よし行くぞ!!大佐ちゃんに続け!」 「おい!!待て!!」
動く海兵達とたしぎちゃんをスモーカーさんが止める。
「あいつら面倒持ち込みやがって!!RООM!…タクト!」
円(サークル)を起こし、その中にいる海兵達や、軍艦までも宙に浮かした。
「お前ら、もう島から出すわけにはいかねェ、人がいねェと言ったことは悪かったよ」 「下がってろ!お前らごときじゃ手も足も……解体されちまうぞ!!」
スモーカーさんは言い放った。 おもしろそうな展開、ドキドキと胸が高鳴った。
「ぎゃー!見ろスモやん!だからこいつと関わりたくねェんだ!」
海兵達はローさんをみて、脅えた声をあげる。
「あいつらも逃がすわけには……侍もいたな」
ローさんはナミさん達をみてぶつぶつとなにかを言っている。
「シャンブルズ!」
ローさんはなにか呪文のようなものを唱えた。 けど、ナミさん達には変化がない。
「一旦引こうぜ中将!こいつの能力、気味悪すぎる!」 「……」
スモーカーさんはただじっとローさんを見つめる。
「軍艦を飛ばすわ、ぶった斬るわ、それをぶつけてくるわ…!!こんなやつとは戦えねェ!」 「しかもあれ…!船の半分は島の岩盤とくっついて妙なオブジェにしやがった!」 「クソ!船がなきゃ基地にも帰れねェ!」 「七武海は政府の直属!お前、おれ達に攻撃すんのは協定違反だぞ!」 「トラファルガー!本部にチクってやるぜ!称号剥奪だ!」
海兵達は喚く。私も、動いた方がいいのだろうか。
「心配無用……、スキャン」
海兵達が持っていた電伝虫は、ローさんの手元にあった。 なんの能力者なんだろう。
「お前らがこの島で見たものすべて本部にも政府にも報告はさせねェ」 「オペオペの実の改造自在人間…だったな!!」
スモーカーさんの言葉に、ローさんは反応する。 オペオペの実の能力…、すごくおもしろそう。
「お前ら!サークルから出てろ!ローの作った円内にいる間は手術台にのせられた患者だと思え!ここは手術室、やつはこの空間を完全に支配執刀する!死の外科医だ!」
空の上でみていた私は、そっと地面に降り立った。 上はあまりにも激しい風だったので、羽が少し抜けている。
「トラファルガー!あなたがその気なら!」 「やめろたしぎ!!お前の覇気じゃ受けきれねェ!」
たしぎちゃんの体は、ローさんによって斬られた。
「うっ、」
たしぎちゃんの体は真っ二つ。でもローさんはその場に蹲った。
「なにが、起こった!!大佐ちゃんが真っ二つに!」 「…、じ、自由屋…!!」
スモーカーさんも、部下たちもみんな私をみた。 私は構えていた銃を、腰へと戻す。
「あなたのハートを、撃ちぬきます」
私がそう言えば、右肩に私の弾が掠ったローさんは、笑った。
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