045

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ…!!


ものすごいなにかの音が聞こえた。
火山の頂が輝いている。


「クザンさん…、」
「2つ目のエンドポイントも…、駄目だったな」


マグマが噴出している。


「ルフィ…、」
「心配?」
「はい…、無茶してなきゃいいんですけど…」


ルフィは今頃あの火山の近くでZと戦ってるだろう。
お願いだから、無事でいて…。


「クザンさん、そろそろ私たちも逃げた方がいいんじゃないですか?」


クザンさんは深刻そうな顔をして頷いた。
サングラスの奥の目は、少し光を失っている気がした。




「もっとスピード出せ!」
「エンジンなんかねェ!これは、ただのバナナボートだ!」
「前を見ろ!ぶつかる!」
「ハンドルもねェよ!」


焦る声と、なにかが滑り落ちる音が聞こえて、ビルの上から下を覗き込んだ。
ルフィを背負ったウソップさんと、ゾロさん、サンジさんが巨大なバナナボートに乗って、坂を滑り降りていた。
後ろからは、火砕流が迫っている。


「うおっ!」


大通りに出たところで、バナナボートは転覆してしまった。
ウソップさん達は路上に投げ出された。火砕流がすぐそばまで迫っている。


「クザンさんっ!!」


私がクザンさんの方を見たら、もう動き出していた。
灰黒色の火砕流が、その姿のまま空で固められた。
熱雲が、凍り付いていく。辺りは冷気に包まれている。


「フー…」


白い息を吐く、クザンさん。
私はクザンさんのところまで羽で飛んだ。


「ありがとうございます、クザンさん」
「ライバルに死なれるのは困るからね」


クザンさんは小さく笑った。
ウソップさん達は海列車の方へ向かって行った。


「私たちも逃げましょう、お腹空きました」
「クミちゃん、寄らねェといけない場所がある」
「?、」


クザンさんは黙ったまま歩き始めた。



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